赤の癒しの姫 (ページ31)

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Episode28 ページ31

ｰEpisode28ｰ

そう…多々良の声はAに届いていたのだ…
Aは上を見上げ聞こえてきた
微かな声に耳を澄ませた

『ねぇ、今日はアンナの誕生日だね
A…早く起きて？じゃないとお祝い出来ないよ？』

『Aが起きて…この騒動も収まったら
みんなで水族館に行こうね』

『みんな待ってるよ、Aが元気に起きて来るの
あ、Aは寝起き悪いんだっけ？その姿を早く見たいよ』

温かい言葉…寂しそうな言葉…今起きている事
全てAに届いていたのだ。

A｢多々良…ごめんね…独りで寂しいよね…
早く起きなきゃ…｣

Aは立ち上がり
周りを見渡し始めたどうしたら出れるか
それを探すために声が聞こえて来る方へ走った

その部屋はとても広く奥は見えなかった
でもAは走り続けた声が聞こえる方へ
諦めずに走り続けた

だんだん声が大きくなってきた
それが分かるとAはさっきより早く走った
“早く会いたい”“早く安心させたい”
そして…“温もりを感じたい”それを胸に…

走り続けた先にとても綺麗な光が見え始めた
それを目指しAは走った

そして外の多々良も何か感じたようで…

『A…こっちだよ
大丈夫、Aならこっちに来れるはずだよ』

『Aの信じる方へ進んで
大丈夫！絶対に待ってるから
へーきへーきなんとかなるって！』

多々良はそう言ってAを励ました
Aもそれに答えるように走った

Aを照らす光はどんどん強くなっていった
その時…

？『…また傷付くことが分かっているのに外へ行くの？
ここが一番安全なのに…ここから出るの？』

あと少しという所でAと瓜二つの少女が
現れた

A｢…貴方はだれ？｣

？『私は貴女…貴女は私』

A｢そう…さっきの質問に答えるね
うん、傷ついても僕はみんなを守りたい
私は守られてる、色々な人に
だから…僕は僕にしか出来ない事を
みんなのためにするんだ｣

強い瞳でAはAと向き合った

A『…私ならそう言うと思ったよ
でも…私の力は無限じゃないよ
自分の傷は絶対に治せない…』

A｢そんなの分かってるよ
ありがとう…僕は大丈夫…みんながいる
君にも僕やみんながいるだから、大丈夫｣

A『ふふ、そうだね
さぁ、外で待ってるよ、またいつか…ね』

A｢うん、またね｣

A｢『僕/私』｣

そして多々良はAを呼び続けていた

A｢……っ…ん…た…たら…？｣

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