赤の癒しの姫 (ページ13)

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Episode11 ページ13

ｰEpisode11ｰ

何も分からない少女。
何も分からないはずなのに
心の奥がどんどん温かくなる様な…
またもやAには理解出来ない事が起きた

だが…そんな少女の頬には
今まで流した事の無い何かが頬を伝っていた

A｢…っ…な…何…これ…
目から…水…出て…きた…｣

尊に抱き締められながら
Aは自分の頬に触れ水を見た

多々良｢それは“涙”って言うんだよ｣

A｢……っ…なみ…だ…？｣

何かが吹っ切れたように少女の目からは
“涙”が零れ落ちた

尊は少女が自分の胸に埋まり
泣き続ける姿を見つめそのままにした

今まで我慢した分なのか
止まることを知らないのか
それほど涙があふれでてきた

出雲も多々良も泣き続ける少女の側により
そっと頭を撫で始めた
少女は初めての“涙”と言うものの
止め方が分からずずっと泣いた

枯れるのではないかという程。
それを見た3人は少女を守らなければ
と心の中で思っていた。

ずっと泣き続けていた少女は
やっと泣き止み泣き疲れたのか
尊の腕の中で“すぅ…すぅ…”と寝息を立てていた

尊｢…寝かせて来る｣

多々良｢そのままキングも寝たら？｣

出雲｢せやな､そのまま寝とき｣

多々良｢じゃあ､俺も今日は帰るよ｣

尊｢…そうか…｣

尊はAをそっと抱き上げ
BARの2階へ上がって行った

多々良｢あの子…相当細いし､傷だらけだよね
どんな事をされたんだろうね｣

出雲｢ホンマやわ…あんなかわええ子を…｣

多々良｢何か喋ってくれるといいんだけどね…
まぁ、何とかなるよね｣

出雲｢ホンマお前は…｣

多々良｢ははっ…じゃあ､また明日ね、草薙さん
おやすみなさい｣

そう言って多々良は手を振りBARを出て家へ向かった

尊は自分の隣にAを寝かせた

A｢……｣

尊｢………｣

A｢…っ…ごめん…な…さい…っ｣

尊｢夢…でも…何かされてんのか…｣

A｢…っ…産まれて…きちゃって……
ごめん……っ…なさ…い…｣

そんなAを見た尊はそっとAの
手をかたてで包み込んだ
そしたらAの表情は穏やかになり
落ち着いて眠ったAをみて
安心した尊もそのまま眠る事にした
もちろん…Aの手は握ったまま

ちゃんと掛け布団をかけてから
そっと寄り添うように目を瞑った尊

そんな2人の様子を見た出雲は
とても優しい顔をして尊の部屋を後にした

これがAと吠舞羅…
尊､出雲､多々良との出会い

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