届かない虹

15(hidaka) ページ16

○hidaka said


全「乾杯ーーーーーー！！」


さくらちゃんとリーダーが到着するのを待ってみんなでグラスを合わせる。


浦「来週さくらちゃんの加入を正式に発表することになった。明日からAAAの仕事の時はさくらちゃんも同じ動きになるから。」


あ「よろしくお願いします…！！」


リーダーの言葉に慌てた様子で立ち上がりさくらちゃんが頭を下げる。


宇「わ！とうとう一緒に仕事できるんだ！よろしくね！！」


與「レッスン辛かったやろ〜お疲れさん。」


宇野と真司郎の言葉に安心したように笑うさくらちゃんの笑顔に思わずどきっとする。


優しい笑顔は、どことなく千晃と似ている気がする。



リーダーからさくらちゃんのレッスンの様子のビデオを見せられたのは昨日。


浦「マネージャーがそろそろみんなと一緒に仕事させても良いんじゃないかって言ってるんだけどどう思う？」


リーダーの言葉に異論はなかった。


完璧な振り付け。


練習にも関わらず常に浮かべている楽しそうな笑顔。


たった2週間ちょっとで、ここまでくるためにした努力を想像しただけで泣きそうになった。



千晃は卒業した。



新しいAAAはさくらちゃんを入れた7人だ。



そう、はっきり言える俺は薄情だろうか？




浦「それと。」



リーダーの言葉にみんなが無意識にまだ立っているさくらちゃんの方を見る。



浦「2ヶ月後のドームツアーには、さくらちゃんは正式メンバーとして参加することになったから。」



リーダーの言葉に少しだけ空気が変わる。



西「…全曲ってこと？」


浦「もちろん。」



何も言わないにっしーに不安そうな目をするさくらちゃん。



俺はちらりと横に座る秀太を見る。



動画を見た時も、今日の呑み会にさくらちゃんが参加すると言われた時も何を言わなかった秀太。


黙ってビールに口をつける秀太はさくらちゃん拒絶しているようにも、前よりは認めているようにも見えてよく分からない。



日『全曲は…大変そうだね。』



今年のドームツアーは20曲を超えるセットリストを作っている。


それを全部、さくらちゃんを入れた7人で作り直す。



時間的に少し厳しいんじゃ……



浦「さくらちゃんはもうAAAのメンバーだから妥協は許されない。ドームツアーのセトリくらい完璧じゃなきゃファンは認めてくれない。もちろんみんなの協力も必要だから大変だと思うけどよろしくね。」

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