届かない虹

13 ページ14

社「久し振りだね七瀬ちゃん。今日はこれからの君のことで話があって呼んだんだ。とりあえずそこ座って？」


『はい…』


おずおずと進められた席に座れば斜め前に座っている直也君とばっちり目が合う。



社「マネージャーから聞いてるよ、レッスン頑張ってるみたいだね。」


『いえ…まだまだ全然で…すみません…』


社「いや、マネージャーも七瀬ちゃんの頑張り評価してたよ。そこで来週、正式に君のメンバー入りを世間に発表したいと思ってる。」


『…え？』


俯いていた顔を上げれば優しく微笑む直也君。


社「しばらくはメディアの露出がメインになるとは思うけど、2ヶ月後のドームツアーにもしっかり参加してもらうからそのつもりで。忙しくなると思うけど大丈夫？」


『はい…！！頑張ります…！！』


社長からの言葉に思わず涙が出そうになる。

よかった、ちゃんと私AAAのメンバーになれるんだ…。


社「リーダーから何かある？」


浦「そうですね。世の中にさくらちゃんのメンバー入りが発表されたら、きっと予想以上にきついことがたくさんあると思う。その覚悟はできてる？」


優しい笑顔と裏腹に厳しい言葉をかけてくる直也君。

だけど、それもAAAのリーダーだから。


『はい、覚悟はしてます。』


直也君の目を見て答える私に直也君は小さく頷いてくれる。


社「よし、じゃあ明日からメンバーと同じ動きをしてもらうから。来週の発表に合わせて取材も何個か入ってる。よろしくね。」


『はい…！！』



やっと、AAAとしての毎日が始まる。


頑張らないと………！！









浦「今日何か予定ある？」


社長室を出ると直也君が声をかけてくれる。


『いえ、今日はこのまま帰るだけです。』


浦「じゃあ今日メンバーで呑む予定なんだけど参加できる？」


『え…いいんですか？』


浦「当たり前でしょ。さくらちゃんはメンバーなんだから。」


直也君の言葉に嬉しくなってぜひ！と返事をする。


そのままタクシーに乗って他のメンバーがもうすでに集まっているという居酒屋に向かう。


みんなあの顔合わせ以来久し振りに会う。


少し緊張するな…


そんなことを考えながらタクシーに揺られていた。

14(naoya)→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す