花冷えの季節2-番外編5 ページ24
瑛斗「風ちゃん、代打の出場って認識だよね？」
風「名前全然覚えていないし。顔も。けど『俺が風邪引いたから、出れるんだよ。感謝しろ』って言われたのは鮮明に覚えてんの』
涼那「全くのデタラメだよ。風ちゃん」
瑛斗「風ちゃんの実力で、コンクール出場決まっていたのに」
涼那「ピアノ教室のオーナーの孫。ワガママ言って」
風「何で？ 俺だけちんぷんかんぷん？ 初耳なんだけど？」
心都「真実を伝えなかった？」
倫「離れて行くのが怖かった？」
風「真実？ 離れる？」
涼那「演奏を聞いて、風ちゃんは小さな世界で終わる人じゃないって分かっちゃったの」
瑛斗「代打の出場って認識の風ちゃんに、違う。って言わなきゃなんなかったのに……オイラもリョウも……」
涼那「ズルい人間なの。風ちゃんの性格なら『代打出場だから』って謙遜して……」
瑛斗「人前に『俺が俺が』って。目立つのを良しとしないだろうって……風ちゃんは……」
心都「当たり前だけど。才能を開花させていったよね。風ちゃんは」
倫「幻の天才作詞作曲家……」
風「何で？ 何がなんだかわかんないよ……」
瑛斗「罪悪感。ミステリアスな戦略が……風ちゃんを尚更輝かせたのに」
涼那「罪悪感。思惑通り、風ちゃんを……世の中の人に触れないように」
涼那.瑛斗「傍に居て欲しい。って身勝手な想いを抱いて……風ちゃんが世の中に羽ばたいて行くチャンスを……」
風「潰して無いよ？ 確かにね『あの仕事はちょっと……』とか、時にムッてしちゃうけど……なんだかんだ、性にあってるから。この戦略。俺を思ってくれる結果極端に走っちゃうんだもんね？」
瑛斗.涼那「うん……」
風「今回の事、たんなるダメ。には思えなくて……もし、俺が瑛斗くんと、リョウの立場だったら？ って考えたの。瑛斗くんと、リョウこそもっと大きな仕事受ければ良いのにって。才能がもったいないじゃんって。けど……今回は、そこ迄の騒ぎにならなかったけど。ネットが悪いとかじゃなくて、戦略を間違えたりしたら一瞬で名誉も地位も失っちゃう。一度信用失ったら……闇雲に、あの仕事、この仕事もってのは怖いな。って言うより……これ以上瑛斗くん、リョウが有名になったら……俺も、心配したり、モテモテの瑛斗くんとリョウは『俺の大事な人なんだからっ』て嫉妬すんだろうなって……」
涼那 《……》
瑛斗 《……》
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作者名：涼風花 | 作成日時：2021年5月26日 16時
