海賊のカノジョさん

揶揄う人【sideM】 ページ5

「歌う人」の続きです





Cptと出かけて、遅めの昼ごはんを食べたあと家に帰るとAがいなかった。
しんとした部屋の中に差し込む夕日を見ているとなんだか少し部屋が広くった気がした。

「A？いないの？」

リビングまで進むとAの防音室が開く音がした。
ギターを買ったのは聞いていたけど床の跡と一緒にギターの跡も少しついていて思わず笑いそうになる。
少し虐めちゃったけど心配もしたしこれくらいは許してもらおう。


その夜はスシとcptとAPEXをする予定だった。
俺がdiscordに入るともう2人は揃っていて。
軽く挨拶すると話が盛り上がっていたのかそのテンションのままスシが話しかけてきた。

「ねぇMondoもこれ聞いて！
Cptに教えてもらったんだけどすごい上手いから！」

チャットを見たらCptが何かYouTubeのリンクを張ってあるのが見えた。
開いてみると、低くて落ち着く声が歌っていた。

「これニホンの曲？」

日本語でスシに聞くと「そうだよー！日本の有名な曲！」と教えてくれた。
名前もそのままAだった。
ふぅん、と呟いた声が浮かれていたのはスシにはバレてないかな。
Cptにはどうせバレてるからどうでもいい。


@Mondo:kore iine
【A】小さな恋のうた【弾き語り】
https://youtube.〜


少しの悪戯心でTwitterに投稿した。
どうせAはしばらく気付かないだろうし。
Aからのラブレターみたいでなんだかむず痒かった。

結局Aにバレたのは3日後の朝。
何気なく見たら再生数がすごくなってたって。
なんでかと思ったら俺の他にもスシもCptもTwitterに載せてたって。
なんでそういうことするの！ってプンプンしてるAがなんだか可愛かった。

「Aが俺のこと大好きって言ってるみたいで可愛いでしょ？」

コーヒーを飲みながらそう言ったらAは顔を真っ赤にしてまた怒る。

「違うもん！
そうだけど違うもーん！」

ポコポコと叩いてくるのもなんだかおかしくて俺はしばらくずっと笑っていた。

だってごめんねってキスしたら全部許してくれちゃうから、今くらいはこんなんでもいいでしょ？

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