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アメリカ合衆国、ニューヨーク。演劇の街、マンハッタンのブロードウェイ。
目に痛い程の数々のパンフレットに看板、それらを埋め尽くす歓声と人々の輝く目、拍手。
原色の看板と演目に包まれたこのストリートには四十を越える劇場が所狭しと詰め込まれ、日々新たな演目が繰り広げられている。
その中でもチケットが販売されれば即ソールドアウトの文字を叩き出し、少しでも楽しもうと劇場の裏に張り付き漏れた音を聞くような者さえ現れる。
誰だってファンにならないはずがない。神によって創られた舞台と、圧倒的スターの登る壇上の劇場。Aが今いる場所はそんな場所だった。名をブロンテー劇場。
君たちの劇場と名前が似ているね、としんぺい神が笑っていた。
今夜は、Aがこの劇場に来ての初の舞台であった。
「本当に後悔してない？」
「今更でしょう」
華やかな衣装に身を包んだAに、しんぺい神が舞台袖で問う。艶やかな笑みを湛え、挑戦的に答えた。
「今日来てくれたお客さん達は幸運だね。伝説の始まり、その証人になる」
「伝説？」
「とぼけないの。ブロードウェイの恋人の誕生だよ」
客席の期待に満ちたざわめきが、舞台袖から見える降りた幕越しによく伝わっていた。皆が心待ちにしていたのだ。新たな歌姫の誕生を。
珍しく緊張しているのか、Aは握り締めていた自分の手のひらをそっと開いた。
「登っておいで、ここまで。俺たちの背を追い掛けて」
しんぺい神はそう言って微笑んだ。じゃ、俺まだやる事あるから！と言い残して奥の方へと姿を消してしまう。入れ違いになるようにして、衣装に身を包んだ兄さんが現れる。
「A」
「兄さん、はい何です」
「……今こんな話をすべきで無いことは知っとる。でも、俺はやっぱり見ないふりは出来ん」
暗い舞台袖でも、兄さんの濃い紫色の瞳はよく見えた。芯の通った強い目だった。その目が、今Aの前で揺らいでいる。
「お前には、居るべき場所が、もう決まってるんやろ」
「……は」
「この三ヶ月、見とってよく分かった。お前が望むならとは思うけど。でも、此処は違うんやないかって」
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塩ラテ(プロフ) - ユズリハさん» コメントありがとうございます！世界観や各々の考えや言葉の表現などは今回気をつけていた所でしたのでそう言っていただけて本当に嬉しいですｴﾍﾍ好きと言って貰えてにこにこしますねｴﾍﾍ、読んで下さりありがとうございました！ (2021年4月1日 19時) (
レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
ユズリハ(プロフ) - 完結おめでとうございます。感極まって上手く言葉がまとまらないのですがとても綺麗な作品でした。塩ラテさんの言葉選びや作る世界がほんとうに繊細で、その一つ一つが触れば壊れてしまうような、そんな関係性を描き出しているのかなと思いました。本当に大好きです。 (2021年3月31日 3時) (レス) id: 4ab6b4c8e6 (このIDを非表示/違反報告)
塩ラテ(プロフ) - ゆりえさん» 今回もコメントありがとうございます！複雑な人間らしい感情を表現して、それを受け取って下さる事の喜びよ……がっがが我慢！？とっても嬉しいですにやけちゃうな……次回もどうかよろしくお願いします！ (2021年2月17日 15時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりえ(プロフ) - 完結おめでとうございます。本当に塩ラテさんの繊細な欲？綺麗なのに複雑な感情がわかる書き方が大好きです。読み終えたくなくて、読むの我慢してしまったぐらいです。もう一つの作品も大好きです！次回も楽しみにしています。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: a07977b9e8 (このIDを非表示/違反報告)
塩ラテ(プロフ) - 鬼蕗さん» 今回もコメントありがとうございます！沢山の感想まで頂いてしまって……ｳﾋｬｰ凄くすごく嬉しいです！！オールキャラで出すために各々の立ち位置や考え方は気をつけていたのでそこを受け取って下さり感謝です！次回作もどうか見てやって下さい。 (2021年2月14日 22時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩ラテ | 作成日時：2021年2月12日 22時
