88. ページ48
とある日。
最近、Aがユメちゃんとばっかり連んでいるから俺も昼目黒くんを誘ってみた。分かりやすく嫌ーな顔をされたけれど、そんなんじゃへこたれねぇ俺に折れた目黒くんはぶすっとした顔で着いてきてくれる。
「何すか。俺最近Aさんと会ったりしてないっすよ」
「ん？別に文句言うために誘ったんじゃないよ〜」
仲良くなろうかなと思って誘っただけと伝えるとちょっと照れ臭そうに下を向いたから、意外と可愛い奴だなと思った。俺より全然背たけーけど。
「そういえば同棲始めたんすね。Aさんうっれしそーに惚気てました」
「そー。いやぁさすがに一緒に住もうっていうのは緊張したわ」
「佐久間さんも緊張することあるんすね」
ぎょっとした顔で俺を見る目黒くんは俺のことを何者だと思っているんだろうか。「そもそも、なんで同棲しようって思ったんすか？」と聞かれれば、そういえばなんでだっけなと考えを巡らせる。
いつか…とはぼんやり思っていたけれど、決め手となったのはAが熱を出して連絡が取れなくなったあの日の出来事だ。ずっと近くにいれば、一緒に暮らしていれば、こんな不安を抱えることも寂しい思いをさせることもないだろうと思って。
そんな話をすると目黒くんは綺麗な顔で笑った。
「Aさんが佐久間さんを好きな理由がやっとわかった気がします」
「やっとってなんだよ。最初からわかれよ！」
「いや今までは全く理解できなかったんで」
「おい！！」
_____
また別の日。
隣の席のAの頭を持っていた資料の束ってポンっと叩くと「いったいなぁ！」と然程痛くないくせに全力で怒ってくるAが今日も愛おしい。
「悪魔だ、やっぱりサクマはアクマ！」と睨んでくる顔なんて怖いどころかただ可愛いだけだと自分で分からないのだろうか。
一緒に暮らすようになってからは家でも職場でもずっと隣にいて、もはや24時間一緒にいる俺らだけれど変わらず賑やかな日常を送っている。
数年前の俺はどうして自分の気持ちを認めず彼女に意地悪ばかり繰り返していたのだろうかと疑問に思うほど、今の生活も関係性も充実していた。
俺が彼女に意地悪をしなくなった理由、それは
隠し切れない程のAへの気持ちが溢れたから。
Aを誰にも取られたくないと思ってしまったから。
Aとずっと一緒にいたいと願ったから。
まだまだ他にも理由はあるよ。それは今後一生をかけて彼女に伝えていくつもりだ。
___Fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2598人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すの担 - 完結おめでとうございます！ﾞ(´∀`)また何かの機会で読ませていただけたら光栄です。これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page49 id: 20b86a31c8 (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - ゆさん» 二ヶ月半もの間お付き合いいただき、本当にありがとうございました！正直私も少しだけ寂しい気持ちがありますが、また次の作品を書くために胸を高鳴らせています！またお目に触れることがありましたら是非、よろしくお願いいたします！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - めぐさん» めぐさん、大好きと言っていただけたことも、幸せだと感じていただけたことも、とっっても嬉しいです。数ある作品の中から見つけていただいて、最後まで読んでくださっためぐさんもお疲れ様でした！ありがとうございました！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - まずは完結おめでとうございます。終わってしまった、、とちょっと複雑だけど幸せな気持ちです。更新されるたびにいつもすぐ読みにきていました。大好きなお話しでした。二ヶ月半ありがとうございました。 (2021年8月21日 6時) (レス) id: 5f09612a30 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きなお話で、読んでて幸せでした！！完結おつかれさまでした！！♪ (2021年8月20日 20時) (レス) id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏子
| 作成日時：2021年6月28日 16時
