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「いや、あの、えーっと、」
耳の後ろを人差し指でぽりぽり掻きはじめた佐久間は分かりやすく動揺している。少し可哀想にも思えてきたけれど心を鬼にして彼から目を逸らさずじーっと次の言葉を待った。
「あの、さぁ…Aに言いたいことがあって、」
「うん」
どく、どく、と自分の心臓の音が聞こえる。今から彼が何を言おうとしているのか全く見当が付かなくて私まで緊張して息を呑む。
バラエティ番組の中で賑やかに笑う出演者たちの声だけが場違いにこの部屋に響き渡っていた。
「これ、を……受け取ってほしくて」
目の前に差し出された佐久間の拳。
ゆっくりと指が開いたそこには鍵が握られていた。
鍵？なんの？私が受け取る？え？頭の中には疑問符がたくさん浮かび上がっている。
「なんの、鍵？」
「……んち、」
「え？」
「おれ、んち」
手元から顔へと視線を移すと、耳を真っ赤にした佐久間が俯いていた。
佐久間の家の合鍵だということは理解できた。私は頻繁に彼の家に通っているし、確かに合鍵があれば便利だなと思うことは沢山あったから有難いし嬉しい。うん。
でもどうして彼はそんなに照れているんだろう。合鍵を渡すだけのことなのに、何故そんなに口籠っていたんだろう。
「合鍵…ありがと、嬉しい！」
「うん、合鍵……合鍵ってか、その」
「ん？」
「A、一緒に、住もう？」
あぁ、彼がこんなに照れていた理由はそれか、と案外冷静な頭で妙に納得した。変な隠し事とか、悪い話じゃなくて良かった、と。
「なんてゆーか。俺だらしないとこ結構あってさ。最初の頃はAがうち来る日は毎朝掃除してたんだけど、最近できてねーこと多いでしょ？部屋汚かったり洗濯物溜まってたりすんのも見られてるからさ、こんなだらしない奴と住むの、もしかしたら嫌かなぁとかも思ってて」
「………」
「断られたら、まぁじで俺ショックで立ち直れないから、なんか言うのも緊張しちゃってさ。今日言おうって決めてたんだけど、一日中そわそわしちゃって、まじでごめん」
目の前で、必死に自分の考えを伝えてくれる佐久間。終始上の空な彼に少し苛々してしまった自分を責めたい。こんなに考えてくれてたのに。
「で、返事……は？」
少し不安そうに眉を顰めて、でも真っ直ぐ私を見つめる佐久間に、精一杯の笑顔を見せて「私も、佐久間と一緒に暮らしたい！」と伝えると、ふにゃあと笑った佐久間が勢いよく私を抱き寄せた。
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すの担 - 完結おめでとうございます！ﾞ(´∀`)また何かの機会で読ませていただけたら光栄です。これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page49 id: 20b86a31c8 (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - ゆさん» 二ヶ月半もの間お付き合いいただき、本当にありがとうございました！正直私も少しだけ寂しい気持ちがありますが、また次の作品を書くために胸を高鳴らせています！またお目に触れることがありましたら是非、よろしくお願いいたします！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - めぐさん» めぐさん、大好きと言っていただけたことも、幸せだと感じていただけたことも、とっっても嬉しいです。数ある作品の中から見つけていただいて、最後まで読んでくださっためぐさんもお疲れ様でした！ありがとうございました！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - まずは完結おめでとうございます。終わってしまった、、とちょっと複雑だけど幸せな気持ちです。更新されるたびにいつもすぐ読みにきていました。大好きなお話しでした。二ヶ月半ありがとうございました。 (2021年8月21日 6時) (レス) id: 5f09612a30 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きなお話で、読んでて幸せでした！！完結おつかれさまでした！！♪ (2021年8月20日 20時) (レス) id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子
| 作成日時：2021年6月28日 16時
