57. ページ17
きっと今すごく不細工な顔になっているのに佐久間はくすりとも笑わずに私の顔を凝視している。
「彼氏の前で無理して笑わなくていーの」
「はふは、いはいんはへほ(佐久間、痛いんだけど)」
「ミスは誰にだってある。反省はしなくちゃいけないけど、あんまり自分を追い詰め過ぎないこと。わかった？」
「……わはっは(分かった)」
漸く解放された頬が痛くてすりすりと摩った。佐久間を睨んでやろうと思ったら、その顔があまりにも優しく悲しそうだったから目を逸らす。
「ほんとに、手伝わなくていーのね？」
「うん、大丈夫。ちゃんと一人でやる」
これは言わずもがな私のプライドだ。自分の失態はちゃんと自分で取り返したい。だからいくら甘えたいとしてもここはぐっと堪えて、一人で頑張りたかった。佐久間もその意図を汲み取ってくれたようで、優しい笑顔で私の頭に手を置いた。その掌からは「がんばれ」という気持ちが伝わってくる。
「ん、分かった。じゃあ俺今日はもう上がるね」
「うん。あ……でも、」
「ん？」
「終わって家ついたら電話してもいい？」
「にゃはは、そんなこと？良いに決まってるっしょ」
「夜遅くなると思うけど…起きててくれる？頑張ったねって褒めてくれる？」
「ふふ、任せて。」
肩をくいっと引かれて、佐久間の腕の中に身体がおさまった。と思ったらそれはほんの一瞬だけですぐに解放される。
「…会社だからちょっとだけ。じゃ、頑張れ、A」
「うん、ありがと」
そして少し時間差をつけて給湯室を出た。
佐久間が退社して、続々と他の同僚もフロアを出て行く。最後に出て行った後輩の女の子が「どうぞ」とチョコレートをくれて、たったそれだけのことなのに目頭が熱くなった。
……相当メンタルにきてるな、と痛感する。
一人きりになったフロアは視界を邪魔するものも耳障りな音も何一つとして無いから集中力はぐっと上がり、ただひたすら頭と手を動かし続けた。
結局全て終えたのは23時を回った頃。乗った電車は終電間際で危うく帰宅できないところだった。
家に着いてシャワーを浴び、コンビニで買ったサラダとお味噌汁をテーブルに並べる。
時刻は0時をとうに回っている。流石に今から電話するのは迷惑だろうなと思いスマホをテーブルに置いたそのとき、《まだ帰ってないの？》とメッセージが届いたから慌てて通話ボタンを押した。
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すの担 - 完結おめでとうございます！ﾞ(´∀`)また何かの機会で読ませていただけたら光栄です。これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page49 id: 20b86a31c8 (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - ゆさん» 二ヶ月半もの間お付き合いいただき、本当にありがとうございました！正直私も少しだけ寂しい気持ちがありますが、また次の作品を書くために胸を高鳴らせています！またお目に触れることがありましたら是非、よろしくお願いいたします！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - めぐさん» めぐさん、大好きと言っていただけたことも、幸せだと感じていただけたことも、とっっても嬉しいです。数ある作品の中から見つけていただいて、最後まで読んでくださっためぐさんもお疲れ様でした！ありがとうございました！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - まずは完結おめでとうございます。終わってしまった、、とちょっと複雑だけど幸せな気持ちです。更新されるたびにいつもすぐ読みにきていました。大好きなお話しでした。二ヶ月半ありがとうございました。 (2021年8月21日 6時) (レス) id: 5f09612a30 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きなお話で、読んでて幸せでした！！完結おつかれさまでした！！♪ (2021年8月20日 20時) (レス) id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子
| 作成日時：2021年6月28日 16時
