56.[ 落ち込んだときに ] ページ16
「大変申し訳ありません。すぐに取り掛かります」
「今日中にまとめて明日の朝報告するように」
「承知しました…」
久しぶりに仕事で大きめのミスをした。
岩本さんとの企画で頭がいっぱいいっぱいになっていて、別件が少々疎かになってしまっていた私の落ち度だ。もちろん言い訳など出来るわけもなくてただただ上司に頭を下げる。
部長のデスクから自分の席に戻って座るとハァと大きなため息がでてしまった。隣の佐久間の視線を感じた気がするけれどなんとなく今は会話をしたくなくて気付かないふりをし、早速企画の練り直しを図る。
佐久間も空気を察してくれたのか話しかけてくることはなかった。
気付けば窓の外は端から端まで薄暗く、太陽は随分前に沈んでしまったようだ。
朝食以来何も口にしていないことに気付き、徐に立ち上がって給湯室に向かう。小さな紙コップにアイスコーヒーを淹れて、壁に身体を預けながらそれを口にした。空腹で摂取したカフェインのせいか途端に胃がもたれたような感覚に陥って即座に後悔する。
だめだ……ちゃんと、しっかりしなきゃ。気を入れ替えて給湯室を出ようとしたときガチャと扉が開いた。
「おっつー」
「あ、お疲れさま」
佐久間はコーヒーもお茶も嫌いだから普段給湯室になんて絶対行かないくせに、私が此処にいると分かって来てくれたんだろうか。そんな優しさを汲み取ってしまうととジーンとくる。でもミスをしたことやへこんでいることを悟られたくなくて目も合わせず入り口のドアに手を掛けた。
「大丈夫か？」
私の手首を掴み引き止めたその力は優しい。声色も優しく柔らかくて、二人でいるときの佐久間の様だ。振り払おうと思えばそう出来るのに、それをしない私にはきっと「佐久間に甘えたい」という気持ちがあった。でも。
「ん、大丈夫。ありがと」
「手伝えることある？」
「ううん。本当に大丈夫」
私が自分の油断や慢心によって招いたミスだから、誰にも迷惑をかけたくなかった。佐久間には尚更だ。下手くそな笑顔を貼り付ける私を見て佐久間は困ったように笑う。
そして私のほっぺを摘み、左右にびよーんと引っ張った。
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すの担 - 完結おめでとうございます！ﾞ(´∀`)また何かの機会で読ませていただけたら光栄です。これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page49 id: 20b86a31c8 (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - ゆさん» 二ヶ月半もの間お付き合いいただき、本当にありがとうございました！正直私も少しだけ寂しい気持ちがありますが、また次の作品を書くために胸を高鳴らせています！またお目に触れることがありましたら是非、よろしくお願いいたします！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - めぐさん» めぐさん、大好きと言っていただけたことも、幸せだと感じていただけたことも、とっっても嬉しいです。数ある作品の中から見つけていただいて、最後まで読んでくださっためぐさんもお疲れ様でした！ありがとうございました！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - まずは完結おめでとうございます。終わってしまった、、とちょっと複雑だけど幸せな気持ちです。更新されるたびにいつもすぐ読みにきていました。大好きなお話しでした。二ヶ月半ありがとうございました。 (2021年8月21日 6時) (レス) id: 5f09612a30 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きなお話で、読んでて幸せでした！！完結おつかれさまでした！！♪ (2021年8月20日 20時) (レス) id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子
| 作成日時：2021年6月28日 16時
