第七十三話 ページ30
side小織
それにしても…読唇術って便利だよなァ
…試合後、遠くから彼らのやり取りを眺めていたのだけど、察する処
緑谷くんは私のした事を良く思っていないらしい
｢けれど心外だなァ、轟くんに何か等した覚えは無いのだけれど…｣
なんて呟いでいたら、轟くんが此方へ戻って来た
｢お疲れ様｣
轟｢まだ…居たのか、小織。いや…改めて詫びなきゃならねえと思ってたところだ
あのクソ親父がすまねえ、気ィ悪くしたろ｣
轟くんに着いて行くように歩き、話していた
私が後ひと試合後に出番なので、控え室まで送ってくれるそうだ
｢言い返したから問題ない。それに轟くんが謝ることじゃないさ｣
と云って笑いかけると、先程から暗かった顔が更に暗くなっていった
え、何か禁句でも発してしまったのだろうか
……駄目だ、大人の考えは分かっても同世代の考えが捉えきれない
｢…どうかしたのかい？轟くん｣
轟｢親父も“轟”だ……出来れば今後、お前には下の名で呼んで貰いてえ
緑谷はともかく、身内事情をほぼ知られた奴に苗字呼びされると…何だかな……｣
｢嗚呼、それは失礼。では私の事も下の名で読んでおくれよ
…それでは焦凍くん、どうかしたのかい？｣
そうもう一度訊ねてみると、彼は足を止めこちらを見つめた
申し訳なさそうな顔で、それでいて辛い事を思い出すような…そんな顔をしていた
轟｢お前の個性…“ストレイ”っつったな、あれは……
個性の強弱、2つの力を持ってるって聞いたが
お前も個性婚…同じ境遇だったりするのか？｣
……私の出生については、マフィア内でも知るものは少ない
勝己にも言っていない、言う必要が無い…そう思っていた
誤魔化す事も出来るが、こんなにも思い詰めた表情をして訊ねて来た焦凍くんに
嘘をつくのも可笑しな話だとも感じた
｢一方的に君の家庭状況を知ってしまったんじゃァ
フェアじゃないからね………話すよ。
…君の云った通り、私は個性婚で出来た子だ｣
轟｢やっぱり…そうだったか｣
私の昔話が、境遇が
少なくとも彼に少しでも“1人じゃない”と思わせる事が出来るのなら
話しても良いと思った
｢物心着く前の事なので、育ての親である義父や自分で調べた内容なのだけど…
君と同じ様に、私が生まれたのは“親の望みを叶えるため”だった｣
轟｢……俺と…同じ様に……？｣
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (3月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
ンフフ - ボクは占いツクールで読んだものの中で一番これが好きです！更新頑張って下さい！ (2022年6月21日 22時) (レス) @page45 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 終わ…？！え…？続きないんですか…？？こんなにもいいところなのに…？？？面白かったです！ (2022年5月9日 17時) (レス) @page49 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
可燃物 - はじめまして!一気読みしてしまいました!すごい面白いです!更新無理せず頑張ってください! (2021年9月19日 23時) (レス) id: 3af77494df (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです！ (2021年8月24日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筰(さく | 作成日時：2020年6月26日 21時
