続４頭の龍が守る桜 ３

西の竜の願い ページ17

「かずきさん、その顔どおしたんすか？
誰にやられたんすか？
かずきさんをそんなにできるって…」

「なんでもねーよ。気にすんな。」

「気にすんなって無理でしょ？
教えてくださいよ、兄弟って言ったじゃないですか？」

「…兄貴。」

「え？」

「だから、俺を殴ったのは兄貴だ…。」

「愁平さんが？」

「お前を坊っちゃんじゃ無く、男と信用して話す。だから取り乱すなよ。」

「はい…。」

「実は、今、お前の母親が片岡側の岩田って奴に人質みたいな形で囲われてる。」

「でも…親父が認めるなんて…。
それにすぐ助けに…」

「それがどうしてかその動きが遅くて…。
うちの兄貴が向こう側に寝返ったふりして助けようとしてる。」

「それで、かずきさんの怪我なんですね…。
でも、なんで親父は？」

「そこは俺にはなんとも言えねぇ。
とにかく今は兄貴とお前の母親の無事を祈るしか…。」

母様…なんで？
父様…なんでだよ！
くそ…こんな体じゃなかったら。
母様…、きっと愁平さんが助けてくれる。
だから気をしっかり持って頑張ってよ。

「あの…かずきさん。
姉を呼んでもらってもいいですか？」

「おぉ、すぐ行ってくるから、待ってろよ。」

＊＊＊＊＊

「啓司さん、これなら一年中花が耐えないね。」

「そうだな。
もともと哲也からもそう依頼されてたんだけど、庭の手入れに入ってたから季節毎に、時々の花を咲かせてたんだ。
今回は、一年草の他に、宿根草も多く植えたし、今みたいに来れなくても、花は絶えないな。」

「それに、高さも、低いもの、高いものって咲くから、ホントきれいだよ。」

「咲いた景色が楽しみだな…。
いつも見に来てやらなきゃな。
花は世話してやらないと、きれいには咲いてくれないから。」

「いつも来て世話してあげようよ。」

「そうだな。
誰に頼まれなくても俺は来るよ。」

「俺も。
約束しなくても、ここで啓司さんに会えるね！」

「俺はネスには会いたくないけどな。」

「そう言うと思ったけどね。」

あの西の花壇は、俺が母親から譲り受けたものなんだ。
一年中花が耐えないようにしてくれ。
きれいな花が咲き乱れる場所にしてやってくれ。
啓司に頼むよ。

…哲也、お前はもしかしてこうなることがわかってたのか…。
だからあいつが寂しくないように、お前らしくも無い…いや違うな、お前だからこその依頼だったのか？

いつ来ても、花が見れて心が癒やされるように…
花を愛でる西の竜と言われたお前と逢えるように…。

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