続４頭の龍が守る桜 ３

優しい場所 ページ15

俺の動きを見てるのかな…。
将吉のことだから、俺の裏切りには何かあるって気付いてくれたんだな。
だったら俺絶対助けてやらないと。

＊＊＊＊＊

「橘、なんで動かねーの？
Aどうでもいいの？」

「どうでもいいわけ無いだろ…。
でも…なぜか動けない。
ここのところ毎晩哲也が夢に出てきてさ…すげー怒ってるんだよ。」

「しっかりしろよ。
哲兄は、すぐに動かないお前を怒ってんだろ？」

「俺…Aを疑ってしまったんだ。」

「何を？」

「匠が…自分の子じゃないかもって。
片岡にそそのかされて、それで本買って調べて、わざとそれを見えるように…。」

「だって桜と双子だろ？
桜だけがお前の子なんて…」

「それがあるんだよ。
数は少ないけど、同時に生まれたけど父親が違う子供っていうのがいるんだ。」

「お前が最初なんだろ？
Aの男って…だったらお前か一番わかってんじゃんか。」

「それを確信したかった…んだと思う。
哲也の影が消えなくて、ずっと…嫉妬してた。」

「いない人に嫉妬しても仕方ないだろ！
何してんだよ！
それであいつのこと責めてたわけ？」

「自分が何かに追い詰められたり、大きな仕事があった時とか、Aに八つ当たりしてたかもしれない。
哲也の事で責めて、気付くとあいつの首に手をかけてたりして…」

「それがあの赤い…？」

黙って頷いた橘の胸ぐらを思わず掴んでた。

「何やってんだよ！
そんなに哲兄が気になるなら、最初から一緒になるなよ！
苦しんでるあいつを更に苦しめるなよ！」

Aごめん、俺、気付いてやれなくて。
ずっと幸せだと思ってたんだ…。
橘と子供達と、それに踊人に綱紀まで、母様、奥様と慕われて、優しく穏やかに笑ってたから…
俺にも、変わらず将兄って甘えてくれてたから…
お前は言えなかったんだよな…。

俺、お前に謝ることばかりじゃん。
敵とってやるなんて言って、お前にやらせて、それも返せてないのに、今度もお前が組織の為に犠牲になるのかよ…。
俺、兄貴として立つ背がねーじゃん。

哲兄ごめんな…。
あんなに可愛がってたAなのに…そりゃ怒るよな？
連れに来てもおかしくねーよな。
ほんとごめん。

頼む愁平…。
今動けばきっとお前がヤバくなる。
だからなんとかあいつを外に出してくれ。

壊れててもいい。
哲兄のそばで過ごさせてやってくれ。
それがあいつにとっていちばん優しい場所だから…。

切れる参謀のテスト→←助けて…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す