続４頭の龍が守る桜 ３

一枚目の壁陥落 ページ12

「お試し期間最終日にしようと思ってるんだ。」

「はい、んで何を？」

「弟君いるでしょ？腹違いの。」

「はい、今回は俺とは別行動ですけど。」

「その弟君をね、殺すまで行かなくても傷つけられる？」

「それが最終テストってわけですか？」

「俺はね。
直己さんは知らないよ。」

かずきをか…許せ、かずき。
俺を信じろよ。

「かずき、上からの命令だから許せな。」

それだけいうとかずきを殴り始めた。
少し抵抗するものの黙って殴られてたかずき…

「こんなもんで終わりかよ…」

途中それだけ言った。

「なんだって？
まだまだ序の口だっつーの！」

ゴメンなかずき、許せよかずき。
心で言いながら、なんとかあいつが立ち上がれるくらいまでは痛めつけた。

「もういいよ、認めるよ。」

かずきの顔の腫れを見て直人さんは言った。
よっしゃ、一枚目の壁破れた。
次は厚くて高い壁の参謀さんだ。
どんなテストをさせられる？

直己さんのテストの前、一度だけAちゃんのいる部屋へ行く機会があった。
直人さんが岩田に呼ばれたのがその部屋で、俺がそばにいたからついていったからだ。

部屋は広く新築だけに、どこもピカピカだ。
見張り役なのか、若い女の子がいて、その子がAちゃんの世話をしているようだった。

話の間料理が振る舞われた。
店で食べるレベルの味で、その若い子の実力をすげーなと思った。
まるで王子様かヒーローを見るように岩田を見つめる女の子の目は、恍惚という言葉がピッタリだった。
途中岩田が

「すみれ、Aは食事した？」

て聞いた時、直人さんが

「よかったら妹ちゃんも一緒に…」

って言うと、岩田が

「最近少し精神的に不安定なんだ。」

ってその話はして欲しく無さそうな顔をした。
俺としてはもう少し聞きたいけど、下手に突っ込めなくて黙っていた。

「ここ何食か全く手を付けられません。心配です。」

と、そのすみれちゃんが岩田に耳打ちするのが聞こえた。
精神的に不安定で、食事できない…Aちゃん…早くしないとヤバイけど、変に動くと二人共ヤバくなる。
将吉や橘さんは何してるんだ…。

こうして談笑してる時は、ホント王子様って言われるのがわかる岩田だけど
どこか怖さを感じるのは、きっと何処かに異常なところがあるんだよな。
大体、いくら昔からの因縁があるにせよ、人の奥さん力や金で奪ってきて、タワマン買って檻にして自分の女にしちゃうなんて…変態だろ。鬼畜だよ。

漢→←羽のない鳥

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