それでもお兄ちゃん 4

まんまでいい ページ27

愛ちゃんが渡辺ちゃんと昴君とバスツアーに行った。
啓兄の店のお客さんにもらったらしいけど…スケベなオヤジじゃないだろな、オイ。
さくらんぼ狩りをするんだって。
いいよね〜さくらんぼ。
オレ、急なオフで部屋にいるのにさみしんぼなの、つまんね。

でもね、その話をケンチ君に愚痴ったら、今日月姉のお留守番付添人になったのψ(｀∇´)ψﾔﾀｯ

「おっはよー。」

「あら？将ちゃんおはよ。
　朝ごはん食べる？」

「うん、たべるー。
　ご飯ある？」

「じゃあお味噌汁作るから待ってて。
目玉焼き？」

「卵焼き。甘いの。」

ねーの卵焼き大好き♪

「甘えすぎ。」

「あ、ケンチ君いたの？」

「いたわ、ずーっと。」

今日はケンチ君が結構大きな会社の決算で忙しいから帰り遅いの。
で、朝から出るからオレお守り役。
オフでよかったぁ♪

「将吉、頼むな。」

「はいはい、おそーくていいよ。」

「じゃあ行ってくるね。
　なるべく早く帰るよ。」

「行ってらっしゃい。
　お仕事頑張ってね。」

そう、月は忘れてる。
｢早く帰ってきてね。｣と行ってらっしゃいのキス。
だから手を降って出かける。
いつかできるよね？
.
.
.
.
.
「ねーちゃん。何する？」

「お天気いいからシーツ類洗う。
　将ちゃん手伝ってくれる？」

「うん。
じゃあさー、ご褒美に爪切って(ΦωΦ)」

「爪？大人なんだから自分でしなさい。」

「ねーちゃん？
　記憶…戻ったんだよね？」

「うん。どうして？」

「ううん。
前は爪切ってって言うといいよって切ってくれたから…。
ちょっとびっくりした(・_・;)」

「え？あ？ごめん。
ちょっとよそごと考えてて…切ってあげるよ、ごめんね。」

その日一日一緒にいて思った。
姉ちゃん記憶なんて戻ってない。
半分戻ってるかないかくらいだろ。

「姉ちゃん？俺と二人のときはまんまでいいよ。
無理しなくても。
疲れちゃうだろ？
だから俺といるときは休みな。
俺どんな姉ちゃんも好きだよ。」

「やだなぁ。
まんまでも戻ってるよ。
大丈夫だいじょうぶ。」

「じゃあなんで泣いてんの？
二人だけの秘密だから。
俺の前はまんまでいてね。」

姉ちゃんは俺の袖を掴んだ泣いた。
どうしてそんなふりをするの？
とっても疲れるだろ？
そんなことを姉がしなくてもいいように俺頑張るからね。

覚えてなくても爪の切り方は一緒だった。
床に座って膝の上に俺の足乗せて切ってくれた。
なんか泣きそうになった。

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