それでもお兄ちゃん 4

どれがホントなの？ ページ23

健一さんのお母様が拘置所に？
もうすぐ出てくるって何？
二度も殺されかけたって何？
だって、兄弟妹みんな健一さんのこと拍手で迎えてたよ…。
お父様に来てもらうように言ったときもありがとなって言って…なんで？

だって私の記憶がなくて、それで良兄と絵美ちゃんや哲也が健一さんに帰るように言ってくれたんだよ。
でも、なんで離れてたの？
離婚届って何？
健一さんは私と別れたくて別居してたの？
お母様は二度も私を？
そんなに憎まれること私はしたの？

写真がないのはそういう時期？
わからない頭の中混乱する…正解はどれ？
将ちゃんも良かったねって…。

「月子ちゃん？
だいじょーぶ？なわけないよね？
体も心もボロボロだから、記憶なくしてんだもんね。
意識なくした？なら休みなよ。」

こんな風に軽くなっちゃって…。
青い顔して、ぜーんぶ旦那のせいなんだよね？
フランスではテロにあって、病気になって、事故の時は助けてやったのに月子ちゃんを置いて家を出て、離婚届？
俺には都合良かったけど、岩田の血縁なめないでほしいなぁ。

だからね、月子ちゃんはお祖母様の考えたとおり、俺と結婚してたら良かったんだよ。
そしたらお金にも苦労しなくてよかったし、病気も治せたかもしれないのにさ。
中途半端に公認会計士なんかに必死になるから…ボロボロなんだよ。
岩田の血が流れてるのに、無理だよ。
中途半端な金持ってたって…。
だって月子ちゃんのお母様はここで育ったのに…。

おとなしく寝てて。
どうせもうすぐうるさい兄さん達が来るんだろうから。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「どうしたんですか？
良平さんと月子ちゃんの旦那さん珍しいコンビ。」

「月子、返してください。
　ここにいるんですよね？」

「岩田、いい加減にうちの妹達に次々嫌がらせするのやめろ。
お前、月子の思いやりを踏みにじるようなことするなよ。」

「ふみにじる？やたなぁ、反対ですよ。
本当のこと教えてあげたのに。」

「お前…月子に何言った？
　また有りもしないことを…。」

「あなたの母親が二度も彼女を殺しかけたこと？
なぜ黙ってたの？
あんたもずるいだろ？」

なんにも言い返せないくせに。
どうせ言えなかったんだろ？
うまく行きかけてたから、それが壊れるのが怖くて言えなかった。

「お前…言ったのか、それ。
　月子！どこにいる！
　すぐ病院行かないと…。」

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