それでもお兄ちゃん 4

言いたい事がある 1 ページ3

始めはもちろん良兄夫婦。
私は良陽とお留守番。
最近良陽は簡単な英会話を小学校に行けば習うからと、色々と私に聞いてくるようになった。

＊良平・陽＊

「俺は責めるつもりはない。
お前はお前で辛かったんだろうし、月子のことを思っての事だ。
但し、お前の母親のことは許せん。
月子は大切な妹だからな。
よく戻ってきてくれた。」

「おかえりなさい、健一君。
私は怒ってますよ、話合いもなく月ちゃんの前から消えたこと。
郵送で離婚届を送ってきたこと。
月ちゃんの左手首を見て、肘にかけていくつも傷があるから。
意味、わかるよね？
だから今後はお願いします。
離れないって約束して。」

「姉さん、すみませんでした。
　もう離れたりしません。
　大切に守ります。」
.
.
.
＊啓司・絵美＊
　
「俺は哲也と同じ意見でお前を月子とやり直させるのは反対だけど、一番大切にしてやりたいのは月子の気持ちだから一発貸しにしとく。
月子守ってやってくれ。
もとのアイツに戻してくれ。
頼むな。」

「約束する。」

「私は言いたいことはあの時言ったから。
月ちゃんの気持ちは本物。
あとは、月ちゃんのご飯をしっかり食べて、健一さんはま元気になること、いい？
私は哲也君に一発預けてます。
けいたん通帳に移しておくから覚えててね。
それからお父様にも責任はある。
だから、お母様のことはしっかり管理していただいてね。」

「絵美さん、ありがとう。
　月のこともありがとう。
　親父に伝えます。」
.
.
.
＊哲也・雪花＊

「俺は今でも反対だからな。
お前に預けてロクなことない。
何回泣けばいいんだ、月子は。
俺の分は使っちゃったかあとみおの分は担保しておく。
とにかく、大事にしろ。
あと、あんなこと二度と言わせるな！
直接聞いたの俺だからな！」

「ごめんな、哲也。
　もう泣かせないから。」

「健一さん、おかえりなさい。
心配させないでくださいよ！
ふたりはいつも仲良くしててくれないと困ります。
月ちゃんはただでさえ体が弱いのはよく知ってるでしょ？
余計に悪くしてどうするんです？
それからお母様のこと、お願いしますね。
お宅でできないなら、失礼だけどどこか施設へ預けてください。」

「雪花さん、ありがとう。
　母のことはちゃんとします。」

みんな言い足りない。
だけど言ったらもう言わない。
黒沢家のルール。

　

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