それでもお兄ちゃん 2

ひび ページ45

健一は多分ほんとにわかってない。
でも、しっかりちゃんと内ケットに入ってたの、ももかって書かれたいわゆる、その、女性と…狼さんになるお店のお名刺。

次回もご指名お願いします♡って書いてあったの。
次回ってことは今回があるわけで…。
でも、ギャンギャン怒っても仕方ない。
だからお店の内容もネットで調べたし…。

健一は不満なの？
確かに体調悪くて仲良しできないこともあるけど…。
普通に仲良ししてると思うし…。
愛されてるって思ってたのに…。
このお家とか…マリア様の絵とかお家に事務所とか。

魔が差した？
男の付き合い？
欲求不満？

月に飽きた？
月が嫌い？
体弱いから？

ぷすぷすくすぶってる疑問が消えなくて…心の中焦げてく。
健一は遊びなれてる。
だから軽い遊びなのかもしれない。
でも、社会人になってからは違うと思ってたから…。
みんなに幸せねって言われて、そう思ってたから…悲しいの。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「啓司の家の資金のことで銀行に行ってくるね。
今日は愁君も行ってくれるからいい金額出したいんだ。」

きっちりスーツに身を包んだ健一はとても素敵だ。
手前味噌かもしれないけど、街ですれ違ったらきっと振り返る。
雰囲気あって落ち着いててセンスもいい。

「月？体調悪い？」

「ううん、啓兄のこと頼みます。
　行ってらっしゃい。」

「ほんとに知らないから、その人」

「うん。もういいの。」

「じゃあなんであれから触れさせてくれないの？
行ってきますもただいまもキスがないの？」

そういえば…自然と避けてたかも…。

「もういい、行ってくる。
　動いちゃだめだよ。
　ゆっくりね。」

健一…嫌な思いさせちゃった…。
今からお仕事なのに…。

しばらくしてメールが入ってた。
啓司の家のことうまく行ったから。
これからお客さんのとこ2件廻って帰るよ。

いつだってこうして連絡くれる。
不安にならない様に…
寂しく思わないように…

「よくうざくないね。」

と言われるくらいに…。
わかんなくなっちゃった…。

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