それでもお兄ちゃん 2

形見分け ページ40

絵美ちゃんから呼ばれて、みんなでお婆ちゃんの残していったものから形見分けをしてもらうことになった。
私達兄弟姉妹は、子どもの頃少なからずともお婆ちゃんにお世話になってきたし、懐かしい場所でもある布団屋さんに久々に入った。

お婆ちゃんがよくカタカタ踏んでいた足踏みミシンはまだ現役。
今では置いてあるだけでもアンティークに見えるそれを私が受け継ぐことにした。
あとはたくさんの蔵書があり、健一初め、本の好きなものはみんな喜んで本を頂いた。

愁君はお布団が施設で使えるからと引取り、みおちゃんは毛布を引き取った。

ものを大切にする世代のお婆ちゃんは、いろんなものをきれいに手入れして使っていたからたくさんの張り出し物があった。
啓兄は息子さんにも声はかけたらしいけど、

「ゴミみたいなものはいらないからすべて処分してくれ。」

と言われたらしい。
母親として育ててくれたお婆ちゃんへの冷たい仕打ち。
一体何が不満なのか。
やはり本当の母親が育てずに自分の両親に子供を育ててもらいながらもそれ以降、滅多に
寄り付かずに来たことを恨んでいるのかな？
だとしたらお婆ちゃんに冷たく当たるのは間違ってると思う。

「月ちゃん、お着物がたくさん出てきたんだけど…。」

絵美ちゃんに言われて部屋に行くと、きちんとたとう紙に包まれた着物や帯、カバンや草履、その他小物類がたくさん出てきた。

｢それぞれ一式ずつ頂こうか、
買えばあ高いものだし、着てあげれば供養にもなるから。｣

ということでもらい受けた。
残りは絵美ちゃんがリサイクルに持っていき、お金にして息子さんに渡すらしい。
普通ならこういうことも息子さんがするべきで、建物を空にして啓兄に渡すべきなのに…。

これからこの建物とお店の建物を取り壊し、今までの倍の広さの土地に、啓兄のお店兼自宅が作られる。
どんなお家になるのか楽しみだな。
その間、啓兄の一家は本家に居候。
うちでも哲也の所でもみおちゃんの家でもみんな歓迎だったけど、本家が一番近く、見に行けるし、3時と10時にはお茶を出すことを
考えると、絵美ちゃんの体も考えてやはり本家となった。
幼稚園バスも便利になった。
一人っ子の良陽には双子との生活で良い刺激になると思うし、双子にとってもそうだろう。

新しくお店が完成してもまた働いて欲しいので、愛ちゃんと渡辺ちゃんには絵美ちゃんの気持ちで仕事のない間も、お給料が支払われた。

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