それでもお兄ちゃん 2

夫、フランスへ ページ2

「気をつけてな。」

「良平、月子頼むよ。」

「こっちは心配無いからお前の方こそ頑張れな。」

「「健一兄お土産ねー。」」

「黒沢家女子の皆さんよろしくね。」

「俺がいるから月姉のことは忘れて。
　ほんと、もう全然平気。」

お姉ちゃん大好きモンスターめ。
そのうち…

「将ちゃんシスコン！」

ほら愛ちゃんに叩かれた。

「病院とかの手配は完璧です。
　でも、必要ないですよね？」

「念には念のだよ愁平君。
　ほんとありがとう。」

「じゃあ行ってくるよ、月。」

朝から一言も話さずに…涙溜めて…
後ろ髪引かれまくり。
でも、これからの為だからな。

「命令忘れんな。」

耳元で言って頬にキスをした。

「おーい、ここ日本だぞ。」

啓司に弄られつつ前を向いた。

「「いってらっしやーい！！」」
(^^)/〜〜〜ψ(｀∇´)ψ(^o^)丿

振り向いたらだめ、行けなくなる。
後ろを向いたまま片手を上げた。

「ばかっ、月子走るな！」

哲也の声に振り返った。
月を抱きとめた。

「走っちゃだめだろ。」

「帰ってくるよね？
　置いてかないよね？」

「当たり前だろ。
　甘えた姫を置いていけるか。
　すぐに帰るから。」

あーあ、そんなに震えないで。
そんなに泣くなよ行けなくなるだろ。
涙目で見つめちゃって…よし。
ここは日本の空港だけど許して。
長い長いキスをした。

「約束だぞ
　この続きは新居で必ずだ。」

「こーら、長すぎっ。
　チビもいるんだからなっ。」

哲也に剥がされて抱えられた月。

「頼むな！」

急いで離れて後ろは見なかった。

「月子、泣くな。痛くなる。」

「哲也…ごめんね。」
　
「わーったから、泣くなって。
　逆に喜べ鬼のいぬ間にだろ？」
( T_T)＼(^-^ )ﾅ？

「わー、あの役やりたかったなぁ。
　いつもいいとこもってくなあ」

変装してる(ΦωΦ)なに言ってる。

「将ちゃんのおバカ！」

「なんで？愛ちゃんは別物だよ。」

「頼んだよ、双子。」

絵美ちゃんはふたりの背中を優しく押した。

「「月ちゃん、帰ろ。」」

「…うん、そうだね。」

「蓮がおてて繋いであげるね。」

「あ、じゃあ僕こっち。」

子供達には誰も敵わない。

「月ちゃん、私に編み物教えて。」

良陽ナイスアシスト！

「うん、一緒にやろうね。」

「蓮もやるー。」

「みんなでやろうね。」

あ、月姉笑ってる。
しかしその後

「月〜今何してるの？」

こんな電話が日に何本も健一兄からかかるなんて、この時は全員気づけない黒沢家なのでした。

それはこうして始まった→←命令

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