WILD DOCTORＳ

いけないキス／移行 ページ50

「遅い。」
「ごめんなさい…。」
岩田先生はソファに座った私の
髪を撫でながら、怒る。
怒鳴らない、静かな怒り…

「あまりいいお姉さん達じゃ無いね
　こんな時間まで。」
「そんな…こと。
　今日は怒っちゃったけど、
　みんないい人です。」

「何を怒ったの？」
先生の手は腰に回って少しずつ
髪に耳にキスを落とす。
「先生のこと話したら…」
「そんな男やめろって？
　岩田は酷い奴だって？」

先生、なんでわかるの？
先生の手が顎に触れた。

「それで？俺と別れる？
　俺から離れられるの？」

先生に怖い声で言われると
逆らえない。それに離れたくない。
憧れて好きで好きでやっと特別に
なれたのに…。

「離れません。だからここに…。」

「それでいいんだよ。
　悪いお姉さん達だな。
　俺からゆきを取ろうなんて…。」

先生のキスが唇に到着する。
されるがままになってる自分。
だって先生のキスは…気持ちいい。
じゅるじゅるって音を立てて
私をだめにする…いけないキス。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「あいつボロボロになるだろうな、
　簡単には納得しないと思う。
　離れるなんて1ミリも無いから
　将吉の中に。」
「ですね、だから言えなくて
　でも、話さないと…」

土田先生はしばらく黙ったまま
優しい顔で私を見てた。

「俺はね、優秀な仲間を失う気も
　後輩が潰れていくのを見てる気も
　ないんだ。
　だからおせっかいなお兄さん
　になることにする。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「離れてほしいな、月先生から。」

「先生に言われたくないです。
　そうしてほしいなら月は
　僕に言うから。」

「言えると思うの？
　甘えてるだけの男が。
　守ってやってるなんて
　思ってたら
　相当な勘違い野郎だ。」

「ケンカなら買いますけど？」

「月先生の変化に気づいてる？
　君に触れられる時
　痛そうにしてない？
　してないなら君の身勝手な
　やり方じゃ月先生は苦痛だけ。
　
　お兄さんに任せなさい。
　年下君はもうお役御免だよ。
　負担や甘えになるばかりで
　君は恋人の心の声を
　聞いてあげられてる？
　言えずに一人泣かせてない？」

「月がそう言ったんですか？」

「言われなくてもわかるの。
　欲しいと思うもののことは
　全部わかるのオレ。

　だから消えろよ、邪魔だから。
　まぁ、そのうち月がこっちに
　来るけどね。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


移行します。
続きは2で。
読んでいただければ…
嬉しく思います。

作者より

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