WILD DOCTORＳ

言えない不安 ページ41

直人からもらった冊子を読んだり、自分なりにも調べたり、直人以外の専門医に問い合わせた。
発症から三年以内に見つかった人は、寛解している方が多いという。
三年以上だもんな。

痛み止めは、少し前なら癌の患者さんが使っていたもの。
お腹が膨れるほどのお薬は保険適用でも高額になる。

更には痛みによる鬱症状。
メンタルにかかる人も多い。
どんな検査にも数字として現れないから、病気が知られる前は虚言とかサボりたいだけ
なんて誤解や、心が病んでると診断され、精神病棟に入院した患者さんもいた。

今でも家族でもついつい、
“少しぐらい痛くもみんな我慢して”
“慢性疲労？私だって疲れてるわよ”
なんて言葉で深く傷ついてる方も。
約束していてもその日に痛みや疲労による体調不良で行けないこともあり、それはその日にならないとわからない。
だからドタキャン続きで友人と疎遠になる方も多く、離婚に至る夫婦も多いらしい。

見た目は元気なのに、触れば激痛。
触れられない恋人や配偶者に、離れたいと思うのもわかる。
相手も、自分も悪くはないのだ。

「お風呂入れてる？」

直人に怒られて診察に来た。

「体と髪は同じ日には洗えない。
　後でぐったりして動けなくなるから。
シャワーか、別の日に洗う。」

「眠れてる？」

「ほとんど寝れない。
　睡眠薬入れればなんとか。
　だけど次の日に残ると仕事に響くから。
痛くて眠れない日は座ったり、体の向き
変えたりしてラクな位置を探してる。」

「月子、お前ステージ3〜4だな。
　多分見てる感じだと4にはなる。
　早目に医者やめろ。
　将吉先生にはすぐ話せよ。
　さんざん傷ついて別れたら、お前のメンタ
ル余計に悪化する。
　すぐにでも寺辻さんとこ行けよ。
　データは投げとくから。」

「今市先生じゃだめ？」

「寺辻さんのがこれ専門。
　国の研究会のメンバーにも入ってるから
な。」

直人に言えない。
これ以上心配かけられない。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「将ちゃんあのね…」

「月ちゃん…オレ外来救急に配属される。
　休みが無いよ…。
　でも、なるべく会いに来るから、俺から離
れていかないで。
　月ちゃんいなくなったら頑張れない。」

将ちゃん大事な時、ナーバスさん。

「がんばって！
期待されてるから大変な位置につけるん
だよ。
　でも将ちゃんならできるよ。」

「月ちゃんの話は？」

「ううん、いいの。」

蜘蛛の糸→←飛んで火に入った目覚ましちゃん。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す