WILD DOCTORＳ

好きなのはラーメン ページ18

「哲也先生お呼びですか？」
「あ！キタキタ。
　月先生午後からの手術の助手
　入ってくれない？」
「鬼ですね！ぜーったい嫌です。
　健二郎先生は？」
「昨日の急患で頭ぼーっとしてて
　エアオペ駄目だったんだ。」
「午後から病棟担当なんです。
　それに哲也先生の手を見てると
　やらしー気持ちになるから
　無理です。」

だって、哲也先生の手はえっちい
んだもん。大人なんだもん。

「そんなん聞いたら余計にやって。
　これから俺のオペ担当は全部
　やって。」
「陽ちゃんと喧嘩したくないから
　お断りです。」
「仲良しか。」
「虐待の子の診察もあるし…。
　大樹先生から依頼来て。」
「あ、ケンチも絡んでたやつか。
　可愛そうだよな、親来るかな。」
「最近また多いですね。
　なんてそういうのできるんだろ。
　聞きたくないような話ばかり。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「空飛くーん、月です。
　一緒に遊ぼっか。」
絵美ちゃんの制服握ってる。
こんなかわいい子なんで？
「オレも入れて。」
「どうぞどうぞ〜」
今日もセクシーな寺辻先生。
景色がいいなぁ…ここの病院。

「絵美ちゃん、遊んであげて。
　その間に動きとか見るから。」
右足…時々引きずるかな。
ホントは痛いけど隠してる感じ。
あとは左の肘、変に曲がっで
もうくっついてしまってる…

「空飛君はご飯何が好き？」
「…お菓子。あとラーメン。」
「ラーメン美味しいもんね！」
「お母さんいつも作ってくれる。
　お母さんが麺を食べて僕が
　お汁をもらうんだ。」

それ反対…もし一つしかなければ
母親なら子供にまず食べさせる。
たとえ自分は食べなくても…。
それでもお母さんが、
作ってくれるから好きなんだ…。

「空飛くん、お母さんは優しい？」
「お父さんが来るまでは優しかった
　だけど…今は怖い。
　お父さんと一緒に叩いたりする。
　お父さんとお母さんは僕が
　嫌いなんだ…前にそう言ってた。
　春ちゃんだけ可愛くって僕は
　悪い子だからいらないんだ。」
寺辻先生の質問に遊びながら
答えた空飛君はその言葉の意味を
わかってるのかな…
聞いてはいけない言葉を聞かされた
空飛君…いらない子なんていない。
絵美ちゃんは目頭を押さえて
上を向いた。

寺辻先生はポケットからボイレコ
を出してスイッチを切った…
「ありがとな。
　虐待の言質取れたよ。」
寺辻先生も俯く。
きれいな横顔も悲しげだ。

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