WILD DOCTORＳ

兄と恋人 ページ43

「たまには俺も構ってよ。
　最近冷たくない？」

哲也さんが拗ねてるのはかわいい。

「どっちが冷たいの？」

久々にふたりで会えたから嬉しい。

「お寿司食べたいって言うから、いつもの
お店にしたよ。」

お鮨が好きな哲也さんセレクトなら
間違いないから。

「最近洋食が多くてお鮨か恋しかったの。」

「俺は？恋しくないの？」

「恋しいよ、ずっと。
　だけどお仕事の邪魔したくない。
　面倒くさい女になりたくないの」

お店について暖簾を潜った。

やっぱり美味しい。
お酒も美味しい。
隣は大好きな恋人。とても素敵な人。
お鮨を食べる手がとてもキレイ。
細くて長い指、しなやかな動き
見ていたらぎゅんてなる。」

「どうしたの？」

「哲也さんの手きれいだなって見てたの。」

「女の子って手とか指フェチ多いよね？」

「実体験に基づいてるの？」

「誤解だよ。酔ってるの？(笑)」

首を傾げて笑うのも素敵
何してもきれいで可愛くて
カッコいい自慢の彼。
更に有名な外科医モテない訳がない。

「このあとどうする？」

「どうする予定？」

「陽を食べたいかな。
　それに関しては腹ペコあおむし。
　餓死しそう。」

「大変、じゃああおむしさんに
　食べられようかな。」

「じゃあ早く行こ。」

せっかちなあおむしさん。
でももうすぐ野獣に変わります。
草食は肉食になります。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「なぁ、陽は知ってるの？
　院長のしようとしてること。」

「この前内科の黒澤先生と岩田先生が来て
話してたやつかな？
　よくわからない。」

「かなりヤバいことなんだ。
　俺はそれには加担できない。
　もし、院長と俺がゴチャついて、俺が病院
にいられなくなったら陽はどうする？」

「お兄ちゃんと哲也さん。
　どちらも大切、選べない…。」

お兄ちゃんには育ててもらったし
哲也さんの事は大切離れたくない。

「俺は陽に来てほしい。
　別にその事をバラす気もない。
　院長には感謝もしてる。
　でも、陽は欲しいの。
　考えておいて。
　いつか選ばなきゃいけない日が来る。
まだあおむしさんは食べたい。」

「たくさん食べたよ。
　なくなっちゃうよ、餌が。」

「でも食べたい。」

「仕方ないなあ。」

お兄ちゃん…何してるの？
ヤバイことって何？
病院なくなっちゃうよ…
哲也さんはやりたくないことは絶対しない人
私何ができるの？

　

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