雌ライオンはひとりでいい 2

気に入らなーい。 ページ10

やっぱり気に入らない。
うちにいても入れ代わり立ち代わり
田崎事務所の奴らがうちに来て
Aと話したり、相談したり
ちっちゃな男だと思われたくないし
治療もあるし平気な顔してるけど
気に入らなーい。

「パパ、たーくん来たよ。」
「しよーきちせんしぇだぁ〜。」
「寺辻のおじちゃまがくれたの。」
ひまはいちいち報告に来てくれるし
診察終わって部屋への扉開けると
いつもなら
「お疲れ様、お風呂入ってるから」
寄ってきてくれるのに
誰かがいれば
「お疲れ様、もう終わるから。」
その場で言われちゃうし…
へたしたらひままで
「おかえりなしゃ〜い。」
って言うだけでお客さんに夢中。
特に将吉先生ね。

おかえりなさいのキスもおあずけ。
気に入らなーい。

最近一緒に仕事するから健一郎が
時々いて一緒に書類睨んでたり
すると思わず
「近すぎ！」
言いそうになる。
「メールで済む話じゃねーの？」
何回か言ったし…(反省)
まぁ、お陰かAは劣化しない。
したからって別にいいけど
奥さんが可愛いことに文句はない。


「Aならどうする？」
今日も健一郎が来てる。
Aも優しく笑いかけちゃってさ…。

「ん〜、どこまで突っ込んだ話
　してもいいのかな？
　質問を書き出して今市先生に
　打診してみるかな？
　岩田君なら当日必ず聞くと
　思うし。」
「聞くだろうな、ワザと動揺
　させる手もある。」
「教えた人に似てイジワルだね。」
「意地悪は人によるの。」

…口説いてんじゃねーぞ。
お前は離婚されたの。

「パパぁ、怒ってる？」
膝の上にいたひまに聞かれて
ハッとした。
「ぜーんぜん。」
「本読んで、パパ。」
「いいよぉ。どれがいいの？」
眉間にしわ寄せてちゃだめだ。

「じゃあ、その感じで進めるね。
　また報告するから、手伝って。
　あと、帯の件、ありがとう。
　編集さんも手直し無いって。」
健一郎が立ち上がった。
「哲也、悪かったな。
　少し長引いちゃった。」
「いや、仕事だからな。」
今日は飯食ってけって言って
やらねー。
「お役に立てて良かった。
　気をつけて帰ってね。」
「パパぁ、この本…
　あ、おじちゃま帰っちゃうの？」
ひま〜本はどうなった？
パパさみしい〜
「おじゃましました。
　ひまちゃんありがとうね。」
「また来てね、おじちゃま。
　今度はひまとねんねしてって。
　前にたーくんもしたよ。」

ぜってー停めてやんねー。
気に入らなーい！

夫婦仲→←目黒署にて

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