雌ライオンはひとりでいい 2

私だけじゃない？ ページ24

「どうしたの…？」
健一郎さんに会って
最初に出た言葉。
「どうしたんだろ？こうなった。」
笑ってる場合じゃない。
頭に巻かれた包帯と顔の絆創膏
左手を首から吊ってる…。

「健一郎さん！」
少し怒ったように言うと
「階段から落ちたの。ドジな奴。」
聞いてた哲也さんが
「階段から突き落とされた。」
と言い直した。
「え？そうなの？」
「さすが監察医だな。」
「自分で落ちたなら足、無傷は
　変だろ？上半身に怪我が集中
　してる…背中を蹴られたか
　男に押された感じ？」
さすが哲也さん…。

「この前の出版バーディの時に
　かなり飲まされて、少し涼み
　たくて、でも廊下とか人すごくて
　出たくないから階段に出たの、
　半分降りた踊り場で壁に
　もたれてたら…」
私が帯を書いた本だ。招待状は
頂いたけどやっぱり今はそういう
席には行きたくなくて欠席した。

「振った女じゃねーの？」
「どの子だろ？」
二人は笑ってるけど…
健一郎さん狙われてる？
それならあの車のときは？
それともいつも助けてくれるから？
でも、車のことは凪ちゃんでは
ないんだ？

怖い…どこで誰が誰を狙ってるの？
どんな理由で憎んでるの？
いくら憎んでも恨んでも
怪我させたり殺したり…おかしい。
そんなのおかしいよ。

「怖がらせないようにしてたのに
　監察医さんがバラすから。」
健一郎さんは私の頭に手を置いた。
「触ってんじゃねーよ。」
そう言ってその手を払って
「簡単に見破れる嘘ならつくな。
　浮気と一緒だろ？」
そう言って笑った。

凪ちゃんが逮捕されたことは
健一郎さんも知っていて
あとは王子がどうなるかだなって
話してた。
自分に哲也さんがいてくれた
みたいに王子にもそんな友達や
仲間がいればって話てた。
その場は酷に見えても将来的には
救ってくれるそんな友人がいたら
って話てた。
哲也さんが今市先生に健一郎さん
を託したことは、将吉先生が
健一郎さんを世間に晒す形で
訴えたことは今思えば本当に
健一郎さんの為になってるんだ。

この笑顔が本物の健一郎さんで
あってほしいと願ってる。

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