雌ライオンはひとりでいい 2

お見舞いと赤ちゃん ページ1

朝食のあとコーヒーを飲んで
新聞を読んでる哲也さんに言った。
「将吉先生のお見舞いに
　行くね。様子も知りたいし、
　奥さま入院中だから」

「タクシーで行けよ。
　ひまはどうする？
　おいていってもいいよ。」
そしたら聞いていたひまが
走ってきてくっついた。
「まーまと行く！
　ひまも赤ちゃんに会うの。」

ママが出かけることに敏感に
なってしまったひまは
どこに行くにもついてくるように
なってしまった。
前ならパパの診察を見ていたい
とお留守番してたのに。

「じゃあ連れて行くね。
　今日はお見舞いだけにして
　お祝いはまた後日にする。」
「ひま、赤ちゃんによろしくな。
　ママのことも頼んだよ。」
「あい、パパまっててね。
　おみやげ買ってくるから。」

散々あれはヤダこれは違うと
お着替えしたひまはリカさんから
もらったカバンをかけてご機嫌。
待合室のお婆ちゃん達に見せて
可愛い、素敵と言ってもらって
得意げに玄関で待ってる。

おにぎりと卵焼き、唐揚げ、
ほうれん草のおひたし等々詰めて
紙皿やコップも詰めた。
子どもたちに昨日作っておいた
ロールケーキも詰めた。

「行ってきまーす。
　お迎えのタクシーに乗り込んで
　その日の私と娘の冒険は
　スタートした。
　なんの心配もなく。」

病院までは窓の外を見たり、
持ってきた小さなウサギさんの
ぬいぐるみに話しかけたりして
お利口さんにしてくれた娘に
ホッとした。
お部屋に行くと、将吉先生ご夫婦
双子ちゃん。その下の二人の
女の子の6人が揃ってて
赤ちゃんは新生児室にいる
とのこと。
奥様にお疲れ様を伝えて
みんなにおめでとうを伝えた。
ひまは将吉先生に夢中(笑)

お弁当を持ってきたと伝え
痛々しいガーゼの将吉先生に
怪我の様子を訪ねた。

「顔はお前よりはあとか残りそう
　だけど、目立たないらしい。
　とっさに手でかばったからな。
　その代わり手は深いみたいで
　時間がかかりそうだ。」
なんでもないと言いたげな先生
だけどそんなわけない。

「本当は私の…」
と言いかけたのを止めて
「お前じゃなくて良かったよ。
　お前ならまともに刃物受けて
　顔に傷つけるところだった。」
運動神経ゼロ人間ですから(-_-;)
「でもホントA先生だった
　らって思うと怖くて…。」
奥様…こんな時までそんなこと
言って…

その後将吉先生に赤ちゃんを
見せてもらってひまもかわいい
小さいと喜んで帰った。

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