雌ライオンはひとりでいい 1

野獣の印と幸せな朝 ページ48

敬浩君はとりあえず明日は自分が
行って話してみると帰っていった。

将吉先生なら自分が行くって
言うんだろうな…。

凪ちゃん、ホントなら将吉先生と
組めるチャンスだったのに…
あなたのホントの狙いは何？
敬浩君が小さな頃の約を忘れた
から？私が気に要らなかったから？
他にもなにかあるの？

健一郎さんからメール
「帯の進捗メールしておいて。
　将吉先生のこと聞いたよ、
　Aは大丈夫？
　野替さんには会えた？
　早く犯人わかるといいのにな。
　おやすみ。」

お風呂に入ってひまの様子を見て
ベッドに入る。
「ひま、寝てた？」
「うん、今日は少しぐずぐず
　してたけど、ようやく。
　夜中に目が覚めたら今夜は
　泣いてくるかも…。」
「敏感に感じ取るし、今日は
　王子のこともあったからな。
　不安なんだろうな…。」

なんとも言えない気持ちになって
布団の入り哲也さんにくっついた。
「ごめんね。せっかく落ち着いて
　生活してたのに…。」
「Aのせいじゃないだろ？」
哲也さんは抱きしめてくれる。
髪を撫でて話てくれる。
「健一郎のこともさ…やだからな。
　疑ってるわけじゃねーけど
　やっぱりやなんた。」

父親同士と男同士は別物
いつも言ってるもんね。
「おやすみなさい」
の優しいキスのあとそっと
目を閉じた。

しばらくして…もうすぐ睡魔が
眠りの世界へ連れて行って…

「A…」
いつもより低い哲也さんの声と
体にかかる重さと、掴まれた
左手首の痛みで眠りから
引き戻される…。

うっすら明るい常夜灯の
明かりの中目の前にある哲也さん
の瞳は真剣で…目が離せない。

「絶対に行かせねーからな。
　特に健一郎には触らせない。
　絶対にヤダ！」

そこにいたのはいつも優しい
いつでも味方の土田先生
ではなくて一匹の野獣…
噛みつかれるように襲われて
意識がなくなる…

朝起きて体を見たら
いろんなところに独り占めの印
赤いその印にそっと触れて
隣で眠るきれいなお顔の狼さん
の頬にキスをした。

そっと起きてクローゼットに
向かう。部屋着に変えた。
右手もつけた。

ひまの様子を見に行くと寝てた。
ゆうべは来なかったんだね。
離れようとしたら
「おはよー、まーまぁ。」
眠そうな声で瞼を擦りながら
腕をのぱしてくる。
「おはよ、ひま。
　ひとりでねんねしたの、
　偉いね。」
「うん、くまちゃんと寝たの。」
屈んでそっと抱きしめると
ひまもぎゅってしてくれる。
「まーま、ご飯作る？」
「うん、作るよ。」

移行です。→←いい子にするから…

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