雌ライオンはひとりでいい 1

二人の父と娘 ページ45

「悪いな、健一郎。」

「いや、大変だな、お疲れ。」

哲也さんご帰宅。
　
「盲腸だな、今から母親が連れて行くって。」

哲也さんがいることで、無理に我慢して悪化させたりも無い。

「ぱば見て！」

ひまはくまちゃんを持ってきて見せてる。

「お！大きなくまちゃんだなぁ。
　ひまねんねしてもらうの？」

「ひまたんがねんねしてあげるの！
パパやーね。」

ひまは部屋にくまさんを置きに行く。

「一人寝早いね。」

健一郎さんが言うのも無理ない。

「ここに来た時、まだ一緒に寝るだろうと思ってさ、ひまのベッドを寝室においたら、自分の部屋におくって聞かなくて、Aが、それなら夜もひとりでねんねするの？って怒ったら寝るって言い張るから、どうせ泣いてくるって言うとおりにしたら２、３回来たけど寝るんだよ。
アメリカの映画とか見てると、子供が自分の部屋で寝てるだろ？
あれに憧れたみたい。」

健一郎さん頷いて笑ってる。

お食事は串揚げとホタテのマリネ、野菜サラダ、締めはそぼろご飯とじゅんさいのお吸い物。

「ひーま、お野菜を食べなさい。
　おじちゃまに笑われるよ。」

「おじちゃまも野菜嫌いだよ。
　さっきお話したもん。」

「健一郎さん、だめじゃない。」

「ごめん、つい言っちゃった。」

「ひま、お野菜食べないと、パパとお仕事できないんだぞ。」

哲也さんの助け舟。

「そうなの？ひま食べる。
　おじちゃまのお仕事はなに？」

「学校の先生だよ。」

「野菜食べなくていいの？
　ひま先生になろうかなぁ。」

あーあ、間違ってるひまさん。

「将吉先生は、野菜食べる子が好きなんだって。」

ここは将吉先生に助けてもらお。

「まーまほんと？
じゃあひまお野菜食べるからしよーきちせんしぇに言ってね。」

「うん、ままが言うからね。」

将吉先生強し！今のところ敵なし！

食事の後、ひまはお昼寝を始めて、くまちゃんと並んで寝てる。
リビングに戻ると二人が話してた。

「Aのことはもう出さないの？」

「出さねーよ。
狙われてるみたいだし、ひまもヤダって言い出したから断ったよ。」

「そっか…。Aの性格からしたらすごく気になるだろうから、かえって、心に負担かなってさ。」

「それはオレも思うけど、危険な目には合わせたくない。
オレもついててやれないし。」

「それさ、俺じゃだめ？」

健一郎さん？

「余計だめ！」

二人は仲良し？それとも…。

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