雌ライオンはひとりでいい 1

パパのおしおき ページ34

お昼前、携帯が震えた。
哲也さんかな？見るとその通り

「事務所の前にいる。
　どこにいればいい？」

「今出るから。」

メールを返して、お財布と携帯、ハンカチが入ってるミニバックを持って

「お昼行ってきます。」

と事務所を出た。

「おはよ。お店決まってる？」

「うん、予約した。
美味しいベトナム料理のお店。
アオザイのきれいなおねーさんがお料理運んでくれるよ。」

「それは楽しみ。」

哲也さんはいつもどおり背中に手をおいてくれる。
お店はすぐ近くで、奥の方の席が用意されてた。

前に美月ちゃんと来たお店。
少し雑貨や家具も売っていて、事務所にいた頃はたまに見に来てた。

注文し終えて少し落ち着くと

「昨日はびっくりしました。」

哲也さんが話し始めた。

「まさか僕の可愛い奥さんが、元旦那と一緒なんて。」

「そこだけ聞いてると、私最低だからやめて。」

「相手、わかんないの？」

「心当たり無いもん。」

「とにかく、危険だったり、ドクターストップなってたり、そんなの認められない。
連れて帰るから。」

「あの…でもね、仕事として受けたわけだから、せめて今の案件が、終わるまで…」

その時いつ見てもスタイルのいいアオザイのおねーさんが料理を運んできてくれた。
全部が揃っておねーさんが下がると

「なるほどね。」
　
納得顔の哲也さん。

「美味し？」

「うまいね、ここ。」

「でも、連れて帰るからな！
　とにかくだめだ！」

…哲也さん。

「昼から、王子と将吉先生と話したら、実家にひまを迎えに行って帰るから。」

黙ってたらじーっと見てる。

「A？お返事は？」

「…。」

「ふーん、そうなんだ。
　そ〜いう態度なわけね。
　パパは気に入らないなぁ。
　悪いママはおしおきだな。」

「どんな？」

「秘密、いーろいろ考えよ。」

怖い…意地悪な土田先生だ。

お店を出て、事務所へ向かってると

「哲也！来てたの？」

良平先生と凪ちゃんに会った。

「うん、王子と約束。
良平、悪いけどA連れて帰るからな。」

「おいおい、ちょっと待てよ。
　ずいぶん強引だな。」

「哲也さん、こちら凪ちゃん。
　新人の弁護士さんなの。
　凪ちゃん、主人です。」

「こんにちは、土田です。
　良平の下は大変だけど頑張ってね。
凪ちゃんか、素敵な名前だね。」

「A先生、ご主人にも甘やかされてるんですね。
欲張らないで、ご主人だけでいいんじゃない？
早く帰ればいいのに。」

王子、黒豹、そして医者→←泣かないのは…

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