検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:77,818 hit

元夫とタクシー ページ32

警察を出て通りまで出た。

「ちょっと待ってて。」

健一郎さん、どこかへ電話してる。
約束があったのかな?
悪い事しちゃったな。

「もしもし?うん、オレ。
おたくの奥さん預かったから。」

「健一郎さん?」

健一郎さんは、今までの経緯を話すと

「で、今警察出たから送らせてもらっていい?
うん、了解。
はい、代われって。」

と差し出された携帯。

「もしもし、哲也さん?」

「何やってる?しかも健一郎と。
話は聞いたけど、明日一度、王子と話に行くから。
将吉先生にもそう言っとけ。
送ってもらったらすぐ電話しろ。
何時でもいいから。
わかった?返事は?」

「はい…ごめんなさい。」

そんなに一気に言わなくても…。
携帯を健一郎さんに返した。

「だから送るね。」

「ありがとう、ごめんね。」

タクシーの中、実家に電話して、遅くなったことを謝って先に寝てもらった。

「哲也怒ってたな。」

クスクス笑う健一郎さん。

「笑い事じゃないんだから。
電話するならするで言って。
 相変わらず意地悪ね。」

「ぜーんぜんそういうの無くなったら俺じゃないよ。
Aには意地悪したくなるの。」

「したくならなくていいです。
 そうだ、また本出るの?」

「まだまだ先だけどね。」

「頂いたのは全部読んでるよ。」

「今度帯書いてくれない?」

「帯ってあの推薦文みたいな?」

「そう、あれ。」

「ムリムリ、文才無いの。」

なんだか沈黙が怖くて?話し続けてた。
お互いそうだった。
いつになく饒舌な健一郎さん

もうすぐ着く頃、左の膝の上にそっと手をおかれた…。
え?って思ったら

「気づいてないだろ?
 左膝怪我してる。
手当しろよ。」

見ると少し血が滲んでた。

「ホントだ…。
知らなかった。
 ありがとう。」

タクシーが家の前に着いて

「ここまで払う」

っていうのに聞かず、

「今度飯奢ってよ。」

って言うから

「もう…。
じゃあそれで。」

って降りようとしたら

「怪我がわかんないくらい動揺してるんだから気をつけろ。
おやすみ。」

そう言って頭をぽんとされた。

「おやすみなさい。」

角を曲がるまでタクシーを見送った。

うちは真っ暗。
たから音をなるべく立てないように静かに部屋まで行き、哲也さんに電話した。

「今日は遅いから風呂入って寝ろ。
明日行くから。
 王子とは連絡ついた。
 ランチ、一緒しよ。
 店決めといて。」

「うん、ごめんなさい。」

「怪我無いか?腕は?」

泣かないのは…→←差し出された手



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
163人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユキ(プロフ) - 明日はいよいよ紅白とお正月カウントダウンだよね三代目とEXILEの岩ちゃんポメラニアン方ばっかり見る(///ω///)♪ (2018年12月30日 19時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
黒木蓮(Kuroki・Len)(プロフ) - あ〜あ、お二人さん気を付けないと、また、ひまたんに見られちゃうかもだよ〜。(/ω・\)チラッ (2018年12月30日 17時) (レス) id: 6a7a2c1ba4 (このIDを非表示/違反報告)
黒木蓮(Kuroki・Len)(プロフ) - つくよみさん» つくたんも、ありがとうだよ(はあと) (´∀`*)ε` ) チュッ (2018年12月30日 17時) (レス) id: 6a7a2c1ba4 (このIDを非表示/違反報告)
つくよみ(プロフ) - 絵美たんお疲れ様です。冷え性には辛い季節だよね。電気毛布使ってても朝起きると手足の冷たさにウーってなるよ(>ω<) 温かいもので体を温めてね。 (2018年12月30日 17時) (レス) id: 582338d1af (このIDを非表示/違反報告)
黒木蓮(Kuroki・Len)(プロフ) - みおさん» 暗いのは仕方ないのだけど、除雪車が走っている時間帯+信号も止まっている時間帯だから、ドキドキ感と気遣いの早朝出勤。でも、わたしはメッチャ近いから、通勤もまだ楽かな。自動車通勤で30分かけて来ている人が、今のところの最も遠い人、大変そう。\(◎o◎)/ (2018年12月30日 16時) (レス) id: 6a7a2c1ba4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月詠 | 作成日時:2018年12月22日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。