雌ライオンはひとりでいい 1

約束 ページ27

「約束だよ」

「うん、約束。」

「じゃあ泣かない？」

「うん、泣かないよ。」


「…でね、将吉先生が哲也さんに謝っておいてって。」

電話で、将吉先生との話をして、なんか高級チックなお寿司屋さんに行ってきた話をする。

「八木先生ずるいなぁ。
そんな案件だって知ってたら出さなかったのに…。」

「将吉先生も、悪い人にはなれないタイプだからね…。」

「今市先生も、反対してたんだろ？
もう、A帰ってきな。
オレから王子に話すから。」

「良平先生の仕事もあるし、案件も１つ増えちゃって、帰れそうもないよ、ごめんね。」

「ほら、A、出すとみんなで返してくれなくなるからヤダっていうのに…。
もう、今回だけだからな！」

「はぁい。」

「あ、あと八木先生は仕方ないけど、二人っきりの食事はおデートだからね！」

「やましくなくても？」

「なくても！」

「はぁい。」

「指切りげんまんだからね。」

ぷ、哲也さんかわいい。

「ひまは？」

「今日はじぃじと寝てあげるんだって。」

「そっか…つまんないな。」

「ん〜、なんかヤキモチ。」

「何が？」

「ひまと哲也さんと仲良しで。」

「ふふふーんだ。仲良しだよ。
　いーだろ。」

このまま仲良しなままいてくれたら、
ほんとにいいのにな…。

「…哲也さん、あのね…」

「なぁに？マジになるなよ。
　ひまだぞ相手。」

「それじゃないの。
　やっぱりいい。ごめんね。
　また明日。おやすみなさい。」

「気になるなぁ。
　おやすみ。」

哲也さんは、もしひまが葛西さんの娘さんみたく、シンナー中毒になったとしたらどうするんだろう…。
父親と母親は違うけど、葛西さんに対しての娘さん、哲也さんに対してのひま
似ていて非なるもの。
一概には決めれない。

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