雌ライオンはひとりでいい 1

鰻重特上 ページ3

「ここは、先生の研究室だね。
学生さんも来るんで、そちらが優先ね。
で、ここ、お世話になってる解剖医、小林直己先生ね。
書類受け取りとかで来るから。」

「わかりました。」

土田先生が辞められて、次に解剖医として入られたのが小林直己先生。
一見強面だが優しい先生。

「で、二つ隣が精神科の今市先生ね。鑑定もしてもらってる。」

「了解です。」

「今市先生おるから紹介するわ。
こんにちは！」

「山下先生、こんにちは。」

相変わらずニコニコやな。

「新人なんでお願いします。」

「松本凪です。お願いします。」

「今市隆二です、よろしくね。
あ、お茶飲んでいって。」

学生さんが、お茶と和菓子を出してくれた。

「ほな、頂こか。」

「頂きます。」

「どーぞ。
なんか懐かしいなぁ。
A先生と、よくこうしてお茶してたから。」

今市先生から、精神的なこと習ってたもんなぁ…。

「ほんならお昼食べて戻ろか。
凪ちゃんは何食べたい？」

「山下先生に合わせます。」

「今日は凪ちゃんのでええよ。
遠慮せんと何でもええよ。
お寿司か？」

「では…鰻で。」

いきなり鰻？言うか、普通。
まぁ、ええわ。

「うな重の上を。」

え？重なん？普通丼やろ？
でもそんなん言われへん。

「同じのを。いや、丼、並で。」

うわー、今月やばいやん。
だからって小遣いねだったら、また機嫌悪なるし…。

「私もそれにした方が…」

「あ？ええよええよ。
俺は今 夜肉やから、お腹調整しとかんと。」

「では、遠慮なく。」

今度からは俺が決めよ。
予定外の大出費や。

「戻りました。」

事務所に戻ると、良平先生が戻っていたので、凪ちゃんを紹介した。

「松本凪です。
よろしくお願いします。」

きっちり頭を下げている。

「凪ちゃん？今日からだっけ？
黒澤良平です、よろしくな。
歓迎会するから、また山下先生と色々決めて。」

「はい、ありがとうございます！
黒澤先生の下につけて光栄です。」

「ん〜普通のおっさんだよ。
また二人でも呑みに行こ。」

あ、セクハラ言われるで。

「ぜひ、お願いします。」

あれ？凪ちゃん…？
黒澤センセならセクハラちゃうの？
人によって態度変えとったら、弁護士失格やん。

「カッコいいですね〜
鷲ってわかるなぁ…。」

「俺は知ってる？」

「へ？あるんですか？別名。」

「俺は鷹やん。」

「え？山下先生があの鷹？
やめてください、冗談。」

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