雌ライオンはひとりでいい 1

癒し ページ20

実家とはいえ、少しずつ気は使う訳で…疲れは貯まる。
そうすると、腕が痛むこともある。 この週末は、一度家に帰ろうと思った。

「今週末は帰るね。」

電話で言うと、哲也さんは喜んでた。
でも心配もしてて…

「痛む？オレ迎えに行くから。」

って言ってくれた。
ひまは、やっぱり電話を取ろうともがいているから、代わると

「ひまたん帰るから、パパ泣かないでくだしゃい。
一緒におねんねしてあげる。」

今はひまが癒やしだ。

山下先生の案件は、傷害で。
挨拶に行くと、やはり女かって言われたけど、

「男では無いですけど、あなたに寄り添って弁護するのでお許しを。」

と言ったら笑ってた。
寄り添われるなら女がいいねって。
話せばわかる人なのに…。

求刑には、おそらく執行猶予はつかないところをつけるように持っていくのが山下先生の見解。
ご近所トラブルというもので、相手は暴力はしてなくても、被告の家の前にゴミを置いたり、植木を切ってしまったりということがあったので。それを考慮してもらいたい。
被害者は、一週間の入院で、全治三週間程度。
捜査にも協力的だったと山下先生のメモがついていた。
初犯でもありこれは勝てる案件。

初の裁判を、勝訴でという山下先生の気持ちがわかりすぎる程わかる。
その優しさが、わからないのは仕方なくても、簡単と言い切り、挙げ句被告人ともめて解雇。
山下先生の配慮は、踏みにじられたと感じても仕方ない…。

将吉先生は逆で、難しい案件。
しかも、相手は健一郎さんで、こてんぱんにやられた。
谷に突き落とされて、上がれと上から見てるそんなやり方。
だけど私にはそれがあっていて、良かったと感謝してる。

「王子も怒ってたわ。
大先生と相談して、それによっては親元に 返す言うてた。
もう少し、聞く耳持ってくれたら、そこまでされんのになぁ。
リカさん以上のモンスターやわ。」

「どうしたら、もう少し柔らかな感じになるんでしょうね。
頑なというか…。」

小林直己先生→←解雇

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