負けてもいいよ３

お式は… ページ29

Aを立ち上がらせて
親父の膝からひまを抱き上げた。
「ちょっと待て哲也。
　母さんはお前が心配なんだ。」
「わかってる…」
「母さんももっと哲也を信じて。
　哲也が選んだ人なんだ。
　あんな可愛い子が
　孫になるんだぞ。
　嬉しいだろ？」
「そりゃばぁばなんて
　言われたら…可愛いわよ。
　私だけ悪者じゃないの。」
「母さん。Aを見てよ。
　身体や過去で判断せずに
　弁護士辞めて俺の夢に
　ついてきてくれるAを。」
「最初からわかってるわよ。
　チョット寂しくなったのよ。
　ごめんね。Aさん。
　このわがまま息子頼むわね。」
「ありがとうございます…。
　ほんとにほんとにありがとう
　ございます…。」

決まると今度ははりきりずぎの
母親はお式は？会場は？
衣装押さえたの？とうるさい。
式は近所の神社で三人であげて
貰うだけだからと話すと
せめて親だけでもと泣きつかれ
結局お互いの親は呼んで
神社でやることにした。
Aはどうしても普通の
着物でいいと聞かず納得した。
持っている着物を着るようだ。

その話を良平にしたら
それならその日祝おうよ
オレ幹事やるから
お前らは言われた時間に
言われた場所に来ればいいから。
ってことになりだんだん
大きなことになった。

二次会に指定されたのは
学生の頃たまに行ってた
レストランで、最近は
ウェディングパーティー
なんかもするみたい。
祝ってもらえるのは
ありがたいけど恥ずかしい…。
いつもは可愛いAが
髪を上げてメイクを和装に
合わせてるから今日はなんだか
きれいだし…

リカも来てた。
「おめでとうございます。
　Aさん素敵。
　こういう式もいいね。」
「山下先生におねだりしなきゃ。」
ってAが言ってるから
あの二人はうまく行ってるんだな。
山下先生勇気あるな。
良平と乾杯してると健一郎が
来た。こいつも呼ぶか？
「おめでとう。複雑だけど。」
「ありがとな、複雑だけど。」
「健一郎だけ呼ばないのも
　なんかやだろ？」
良平には負けるわ。
将吉先生も一家で来てくれたし
ひまは将吉先生にロックオンだし

そうこうしてると司会の山下先生
に呼ばれた。
「娘のひまちゃんから
　ばばとままにプレゼントです。」
そう言って向日葵が
小さめのひまわりの花束を
「あい、どじよ。」
ってAにくれてそこから
１本をオレに
「あいぱぁぱ」
ってくれた。
誰が仕込んだサブライズなのか
つい泣いてしまった。

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