負けてもいいよ３

魔女の謝罪と… ページ14

ある日曜日の午後、山下先生と
リカさんがやってきた。
「忙しいときにごめんなさい。
　会ってくれてありがとう。」
そう言った。リカさんからは
あのきつい香りはしなくて
爪も淡い色になってた。

ソファに座ってもらって
コーヒーを出そうと持って行くと
「あ、私が…」
と言って受け取ってくれた。

山下先生も哲也さんも
黙ってその様子をみてた。
「田崎事務所でお手伝い
　してるんですよね？」
拳を握りしめて話し出すのを
躊躇してるみたいだから
私が話を出した。
「あ、うん。皆さんに色々
　教えてもらって…」
「美月ちゃん優しいでしょ？」
「いちばん色々教えてもらうから
　仲良くしてもらってて…」
美月ちゃんならいろんな面で
大丈夫だと思った。

「Aさん…私あなたに随分
　ひどいことを…たくさんして
　しまって…」
今までの色んなことが蘇って
体が震えた。ないはずの
腕が痛い。
でもすぐに哲也さんが
背中に手をおいてくれて
落ち着けた。
謝って済むようなことじゃない
ってよくわかってる。
だけど引っ越してしまうって
山下先生からきいて…
どうしても一度誤りたくて…。
「ほんとにほんとに
　ごめんなさいっ。」
リカさんはソファの横に
膝まっいて頭を下げる‥
膝の上の拳に大きな涙がおちた。

「まだ…勉強不足で…
　どうやってあなたにお詫び
　したらいいのか…
　わからないけど…
　私ができることはなんでも
　していくから…」

そっとリカさんに近づいて
前に膝まづいて
その手に左手を重ねた
「リカさん…頭上げてください。
　あなたには随分
　泣かされました。
　だけど…それは全部あなたが
　健一郎さんを好きだったから。
　伝え方を間違えた。
　これからも頑張って
　先生達に色んなこと教えて
　もらってください。
　それから…」
リカさんの耳元によって
女同士の内緒話をした。
リカさんは余計に泣いて
しまったけど何度も
ありがとうを言ってた。

最後にひまを抱いてもらって
二人は帰っていった。
玄関が閉まってから
哲也さんが抱きしめてくれて
「がんばったな。」
って言ってくれて力が抜けて
震えてきたし、泣いてしまった。
でも良かったと思えた。

「Aせんせと何話したん？
　最後内緒話してたやろ？」
「秘密。」
「教えてーな。」
「やだって。」

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