負けてもいいよ３

天使のひとこえ ページ11

病院にいる限りひまとは離れ離れ
ある日Aにどうしても
ひまと暮らしたいと言われた。

ほんとうならまだ無理
言いたかったけどオレもいるし
外出禁止でいいならと
許すことにした。
将吉先生が明日ひまを連れてくる
そんな日にAは退院した。

まだなにかの時には痛みを
顔に走らせる。
無いはずの腕が痛いとうなされる。
でもその夜は穏やかに
過ごしてた。

久しぶりに病院食じゃない
食事をとって、ふたりだけの夜
「お風呂入りたくない？
　髪も洗いたくない？」
「美容院明日行く。」
「なんで？あらったげる。」
「なんか企んでるからヤダ」
「医者なんだけど？」
そんな話をしながら
一緒に笑えるのが楽しかった。

結局早めにベッドに横になった。
「ふたりだけ最後の夜だな。」
腕の中のAに言った。
「そうだね。明日からは
　また三人だね。たくさん甘え
　させてくれてありがとう。」
「ひまにも感謝だ。
　ママを独り占めさせてくれた。」
「可愛そうなことしちゃった。」
「明日からはまたいっぱい
　甘やかしてやろうな。」
頷いたA

「じゃあ今夜まではオレが
　独り占めだ。」
長い長いキスをしたら
「ひまいてもするでしょ？」
つて笑った。
「するけど…気持ちの問題じゃん。
　ふたりきりとちがうからなぁ。
　ひまなーんかわかってそうで
　大きくなってからなんか
　言われそうじゃない？」
「そんなわけないでしょ？」


次の日ひまは帰ってきた。
将吉先生は名残惜しそうに
何度もひまを抱っこして
帰っていった。
その日は三人でいっぱい遊んで
夕方にはひまをお風呂に入れた
将吉先生の癒しわかる気がする。

いいというのに食事を用意
するA、まぁリハビリか
と思い仕方なく
ひまと遊んでると…
「…ぁ…あ」
ひとりおしゃべりがはじまった。
「ひ〜まぁ？わかる？
　お家に帰ってきたんだよ？」
一生懸命オレによってきて
話してる。
「今夜は三人で寝ような。」
Aを気にしながら
ひまをみてると
「ぁ…ぱ」
え？まじで？
まさかな。
「ぱ…」
お？マジで？
前にしてたみたいに自分を
指さしてみた
「パぁパ…」
やべーパパって言った！
「A！大変！
　ちょっとこっち来て
　ひまさ！」
そこからは涙が出ちゃって
不思議そうによってきたA
がオレとひまを交互に見てる。
「どうしたの？
　哲也さん何泣いてるの？」
「ひーま？」
Aが呼びかけたとき
「ぱ…ぱ」
「あら？言えた…？」
ひまぁよくやったぞ。

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