いつでもお兄ちゃん 3

バイト先の大将 ページ29

あー、早く月のとこ行かないと。
暴力反対派だけど、背に腹は変えられない。

「やめろって言ってんの！」

兄貴の肩を掴んだ時、俺の腕を掴んだ手…

「それ、俺にやらせて。」

啓司が来てくれた。

「啓司、ナイスタイミング！」

「だろ？
お前早く帰れ！
まぁ、月子も口じゃ負けない…かな？」

「ありがと、啓司！」

もう一回、全速力だ。

「さて、続きしようか？」

「お前も未来のか？」

「バイト先の大将だよ。
店員に怪我させられたんじゃ、明日からうちの店が困るんだよね。
愛ちゃん、看板娘だから。
お客さんから人気あるんだよね。」

ほっそい体を少し押してやったらよろけてる。

「そうだ。 バイト先のオヤジなら、愛の給料前借りさせろよ。
そのぶんタダ働きさせればいいだろ？
それに、愛には有名人がついてるんだ。
もし、働かなくなったら、そいつから金取れよ。」

「弟から、金取る気ないんでね。
それに、どこまで根性腐ってんの？
生ゴミなの？
臭うから、ゴミ箱行けよ。」

胸元掴んで、階段の際まで押してやったらビビってる。

ケンカは散々ガキの頃にしたんだよ。
うちの兄弟みんな体でかいし、強いよ。
頭脳派の哲也でさえ、中々よ。

「お前も兄貴か？
ごちゃごちゃいるらしいな、兄妹が。」

「何人いても、いいやつばっかだよ。
お前みたいなクズは一人もいねーよ。
早くいけよ、二度とくるな！
来たくないよーにしてやろーか？」

「どけ！」

生意気にも俺をのけてドアに近づこうとしたから、肘で右頬小突いてやったら倒れ込んだ。

「ごめんごめん、当たっちゃった。
軽くだもん、平気っしょ？」

声も出ないか？
粋がってるだけのクソ兄貴。

「いつでもやってやるよ？
愛ちゃんはもっと痛かったろうな。
まだ、痣が消えないらしいからな、傷害で警察連れてってやろうか？」

「覚えてろよ。
後悔するなよ。
愛に関わった男は不幸になるんだ。」

「ごめん、オレ暗記苦手だわ。
歴史とか全くダメでさ。
たぶんあんたのことも忘れる自信ある。」

毒づきながら、頬を押さえて帰っていったバカ兄貴。

「愛ちゃん、もういなくなったよ。
啓司だよ、開けて。」

「…。」

返事がない。

「愛ちゃん？とおした？
ここ開けて。」

チャイムを押しても、ドアを叩いてもシーンとしてる。
もしかして…

管理のいる受付に急いで、訳を話して、部屋を開けてもらった。
玄関に座り込んだ愛ちゃんは、過呼吸起こして胸を押さえてた。

「救急車呼んで！」

如月の嘘→←助け合うのがうちだから

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