いつでもお兄ちゃん 3

助け合うのがうちだから ページ28

「はい、どなたですか？」

インターフォンに映るのは、如月。
家まで来るなんて。
介護はどうした。

「なんでしょうか？
今、主人は留守にしてます。」

この時間だもん、仕事に決まってるじゃん。
うざー。
入れてやんない。

「奥さんに話があってきたの。」

「私はあなたに話なんてありません。
お帰りください。
話なら、会社でしてください。
私は、主人から聞きますから。
そう言われてますから。」

自動的に録音も、録画もされてる。
変なことをすれば通報してやる。
今、いっくんを守れるのは、私だけだ。
負けない！母は強いの。

「では、あなたのお姉さんにお話を聞いてもらいます。
お近くですもんね。」

「姉は関係ないでしょ？
それに、姉には義兄がついてますから。」

「あなたに用はなくなりました。
さよなら。」

もー。
何なん、厄介者めಠ_ಠ
健兄に電話だ！

「もしもし、愛ちゃん？」

「は？みおですけど。」

「あぁ、ゴメンネ。」

健兄、なんか走ってる？
ゼェセェしてない？

「かけ直していい？」

「だめ！
月姉のとこに、今から、変な女が訪ねていくから、健兄追い払ってね！
できたら、健兄を黒澤男子に推薦してあげる。」

「えー！
ちょっと待って。
今、愛ちゃんちに兄貴が来て向かってるんだ。」

「月姉ひとりなの？！
いい、良兄に、頼む。
健兄なんか知らないからね！
離婚だ離婚！三行半だ！」

良兄が月姉のとこに行ってくれる。
一番近いから。

ったく、月子を愛してるは嘘かい。
でも、愛ちゃん危ないのもわかる。
将兄のマンションに一番近いのが健兄の家なんだもんな。

「もしもし、啓兄？
将兄のマンション行ってくれる？
愛ちゃんがやばいの。」

よし、取り急ぎ、これでいい。
黒澤家は、みんなで助け合う。
今一番危ないのは、愛ちゃんだ。

月姉は理論では負けないはず、だって健兄の奥さんで、哲兄のけんか相手だもん。
如月なんて簡単に論破してくれる。
それに良兄が加われば、力では負けなしだ。

＊＊＊

いたいた。
いかにも悪そうな、話に聞いたほっそい兄貴。
将吉が、マジで怒ったら、確実にやられるぞ。

「愛！いるのわかってんだ。
開けろ！」

「あのさ、カメラ写ってるからね。」

「お前誰だ？」

「未来の愛ちゃんのおにーさんです。」

「あ？
わけわかんないこと言ってんなよ！
兄が妹に会うのに文句あるか？」

「文句はない。
やめろって言いたいだけ。」

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