いつでもお兄ちゃん 3

小悪魔の父 ページ3

月ちゃん退院。
とはいえ、半ば強引に、お家に帰りたいって帰ってきちゃってる部分も多い。

だからお家でも寝たり起きたりしてる。
でも、健さんにとっては病院に詰めてなくていいから、余裕はできたはず。

「いつでも、電話してきなよ。
近いんだから、すぐ来るからね。」

瑞希のお散歩の途中、様子を見に行くと、テラスで車椅子に座って本を読んでた。

「絵美ちゃん、寄ってくれたんだね。
瑞希〜ぷくぷくさんだねぇ。」

瑞樹の頬を突いて喜んでる。
でも、どこかまだ顔色が良くない。。

「双子はどうしてる？
元気持て余してない？」

「なるべく休みにはどこかへ行くようにしてるけど、やっぱりね。
毎日の習慣がないと、どうしてもリズムが狂っちゃうから。
最近ちょっと夜ふかし気味かも…。」

「幼稚園に行くっていうのも、あの子達にとってはそれなりに体力や、気力を使ってるんだよね。
お友達と接してくるだけでも、違うんだよね。」

「うちはまだ、この子もいるし、二人だからいいけど、良陽はひとりだから余計にね。
まぁ、本の好きな子だから、哲也君がいろんな本を渡してるみたい。」

良陽は完全なインドア派。
あまり走り回ったりもしない。
うちの蓮とは少し違う。

「でも、あまり休ませるのもね。
今度は行きたくないって始まりそうだよね。」

月ちゃんの言うとおりで、家にいると、どうしても甘えるし、大勢のお友達の中で揉まれることもないから、居心地はいい。
今までは、園に行くのを嫌がったことはないけど、次に行くことになった時に不安だ。

「健さんは？
ちゃんと守ってもらってる？
大切にされてる？
あの子はそれから来てない？」

「うん、優しくしてもらってるよ。
ここにはあれから来てないよ。
これで収まるとも、思えないけど。」

不安そうに言う月ちゃんの後ろから、健さんが答えた。

「あの子の父親の会社との契約がなくなったから、もう来ないよ。」

それから近くに来て、月ちゃんの隣に座る。

「そうなの？
あの子、やっぱり父親に言ったのね…。
大丈夫、健一？」

「平気だよ。
娘の言うことだけ聞いて、一方的に契約を解除する父親が社長の会社なんて、将来性ないよ。
イ○アが入ってきてからは、日本のインテリアメーカーも厳しいんだから。」

こうして二人並んでるといい夫婦なのに…。
時々健さんがやらかすから…。
改めて二人をじーっと見てしまった。

「「なに？」」

「ううん。
とにかく、仲良くやってね。」

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