いつでもお兄ちゃん 3

一緒に暮らしたい ページ14

「将吉おじちゃんが来たよー！」

蓮がキッチンに来て教えてくれた。
愛ちゃんが、どこかホッとした、女の子の顔をしてるのが微笑ましかった。

「ゴチになりに来ました。」
「絵美ちゃん、手伝うね！」

愛ちゃんは、すぐにキッチンで動き始める。

「瑞樹〜、お前はでっかいなぁ。」

将ちゃんは瑞樹を抱っこして話しかける。

「いいお部屋見つかった？
うちは別に、いてくれて構わないんだからね。」

「ここが嫌なんじゃないんですよ。
やっぱり一緒に暮らしたいから。
ちゃんと発表させないなら、マスコミからは守ってもらうように、事務所に交渉したんです。
そしたら、もう少し、セキュリティの高いところに住めってなったんで。」

「将ちゃんも芸能人なのね〜。」

「みんなといるときは、いつもの将吉てす。
俺は俺だよ、ねーさん。」

とりあえず、また一緒に暮せば、愛ちゃんの寂しいも減るよね。

「愛ちゃん、しっかり使えまえときなさいよ。
結構人気あるんだからね、お客さんから。」

「じいちゃんたち？
気をつけなきゃ。」

じいちゃんだけなら笑い話なんだけど、けいたん気にしてたからね。
でもまぁ、今日の愛ちゃん見てたら、心配ないね。

「将吉おじちゃん、今日月ちゃんの家にね…」

蓮が、変な男のことを話してしまい、ひと騒ぎ。

「蓮、どんなおっさんだった？
ここに、絵、描いてみ？」

「かけないよ〜。」

「髪は短かった？
お目々は大きかった？
蓮、思い出して。」

「将吉おじちゃんきらーい。」

あらあら…。
月ちゃんのことは、だめなのよね。
あまり必死に聞くから…蓮が怖がっちゃった。

「将吉！お前も手伝え！
お客様じゃないんだぞ。」

「うん、俺肉焼くよ、啓兄。
プロだから、任せて。」

そう言って立ち上がった将ちゃんは

「姉さん、ビール持ってくね。」

と冷蔵庫から、ビールを何本か持って、庭へ降りた。

それから、しばらくして、ふたりは、哲也くんのマンションの近く、本家やうちとは違う方角に部屋を決めたようで、愛ちゃんは、嬉しそうにそっちへ移った。
マスコミには、相手は一般の人なので、取材は禁止という連絡が、事務所から通達された。

自転車なら、あっという間なので、愛ちゃんは、それからもバイトを続けてくれている。
そのうち、小さな経自動車を買う予定らしい。

本家、我が家、寺辻家、野替家、哲也くんのマンション、そして将ちゃんのマンションと黒澤家はみんな、近すぎないいい距離感で、この辺に集まっている。

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