いつでもお兄ちゃん 3

エビチリさんがいた。 ページ1

お休みの日って嫌だな。
将ちゃんはお仕事忙しくて、早朝にでかけちゃった…。
でも、ゆうべ、マンション引っ越すって言ってくれた。

「愛ちゃん、みんなで少し遠くの公園に行くけど、一緒に行かない？」

絵美ちゃんが誘ってくれた。

「みんなで行ってきて。
私少しやりたい用事があるから。」

「ひとりで？
充分気をつけてよ。」

たって家族水入らずのほうが、絶対いいもん。
子供達を外に出してあげるのは、すごくいいと思う、双子ちゃんは特に、園にも行けず、ストレス溜まってるから。

みんなは犬の大地も連れて、ワイワイ車に乗り込んででかけていった。
それをお見送りして…

「さぁ、何しようか。」

だって、用事なんてない。
ふと、自分の自転車が目についた。
またマンションにいた頃、将ちゃんが買ってくれた、可愛い自転車。
お気に入りの私の愛車。

「よし、相棒、出かけよう！」

秋晴れ、最高。
お出かけしないのはもったいない。
知らないお店を見つけてランチして、美味しかったら今度は将ちゃんと行こう。

リュックを背負って相棒に跨った。
出発進行♪

商店街にいると、大概のものはそこで買えちゃう。
顔バレしてからは、怖くて洋服さえネットで買ってるから。
でも、たまのお出かけは、いろんな発見があって、楽しかった。

可愛い洋服見つけたり、アジア雑貨のお店でラクラクなサルエルパンツ見つけたり、他の雑貨屋さんではピアスやペンダント買ったりした。

寂しいに負けそうになってたけど、元気でてきた。
最後に可愛いけケーキ屋さんを見つけて、みんなにプリンアラモードを買った。

あとはランチだ。
どこにしよう、どこが美味しいだろう。

帰る方向で探そうとしてたときに見つけたおしゃれなカフェ、の隣にある古くて小さな定食屋さんが目に止まった。

こういうお店に当たりはある！
そう思って、相棒に鍵をかけた。
待っててね、お腹を満たしてくるね。

中に入ると、お昼時間は過ぎてるのに結構人がいる。
やっぱり当たりなんだ。
でも、女性は少ない。

「お好きなお席にどうぞ〜。」

赤いエプロンをした元気そうなおねーさんに言われて、壁際の二人用の席に座った。
少し落ち着いて周りを見て、思わず声が出てしまった。

「エビチリさん！」

斜め前の席で、焼き魚定食を食べようとしてるエビチリさんがいた。

「あ！あのお店の！」

エビチリさんは笑ってくれた。

「エビチリはないんですよ。」

店員さんに言われて慌てて謝った。

エビチリさん=ノブさん→

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