先生、気づいて

何……だと ページ12

「おいおい、そんなんでいいのかよ」
男の人の呆れた声がして、後ろを振り返ると
「ちょ、いつから三上先生いたんですか」
三上先生が立っていた。
何故か片腕を直角に曲げて、ノートを持ち上げている。

「いや、これから帰りの会やるし」
もうそんな時間だったんだ……。
まずい、これは相当寝ぼけていて、頭が働いていない。

「今日は早く寝ろよー」
と言いながら教室に向かって歩く三上先生。
何故寝不足だとわかった……。
「あのね雪菜、そんなに大きな隈ができてれば、誰だって気づくよ」
真由に指摘されて鏡を見ると、隈ができていた。
「うわあ、こんなダッサい顔して三上先生としゃべってたの？」
「いや、これ指摘されてるんし気づこうよ……」


ショックを受けた私は、真由に引きずられて教室に入る。
「おー、雪菜生きてるかー」
「何とか生きてます……」

恋する乙女(乙女ってほどかわいくないけど)である私にとって、
平凡な顔に隈ができて、不細工な顔を好きな人(三上先生)に見せることなんて
恥ずかしさと衝撃でやられる……。
「とりあえず席付け」
「ほら、雪菜立って」
「はーい……」

充電切れか、と真由にツッコまれてしまった。


帰りの会が終わり、下校。
いつもなら真由と一緒に帰るけれど、今日は一人で帰った。

あー、眠いしだるい。
よりによってあんな顔してたなんて……。
自分でも見たくないくらいえげつない顔してた。
自分じゃないでしょ、って言いたいくらいの顔。

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