転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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花梨様の言う通りです。

花嫁の大半は、選ばれた瞬間にその様な思考に陥りがちなのです。

柚子様はその辺の愚鈍な花嫁とは違う…と信じたい気持ちもあります。だからこそ、玲夜様に選ばれた柚子様に“現実”というものを突き付けなければ。




ところが、花梨様は自身もその「愚鈍な花嫁」と同類だったと告白しました。




……包み隠さず、初対面の私に語るなんて。





けれど……





―――あくまでも花嫁は子孫繁栄の器であって…伴侶を支えられるか、本心で愛し合えるか、となると別問題になるのかなって






あやかしの花嫁で、初めて私と考えが一緒でした。
花梨様なら…柚子様の妹という事もあり、きっと私が語るよりも柚子様に“現実”を教えてあげられるのではないか？





……喜びのあまり、私は愚かにも失言をしてしまったのです。





―――柚子様と出会う以前から、玲夜様には愛し合っている恋人がいらっしゃるのですよ



―――勿論、出会いは本能でも、そこから愛を育む事もあるでしょう。あやかしは本能に抗う事は出来ません。しかし玲夜様は、それでも本当に大切な人への愛を忘れてなどおりません。



―――あくまでも玲夜様の一番はその方である、という事を姉である柚子様に教えてあげて欲しいのです





遠回しに姉を傷付けろ、と言っている様なものなのに…



花梨様は…静かに怒りました。
愚かにも私は…それは当然だという事に、気付くまでに時間がかかってしまいました。



そして花梨様の口から語られたのは…自身がこれまでに花嫁様にしてきた愚行でした。




……不思議な感覚でした。




私は、幼い頃から社交界等のあらゆる面で、人間やあやかしの方々と話をする機会に恵まれていました。


故に、私自身も表情を作り、感情を表に出さない様に、相手が喜びそうな言葉を口にしたりと…外面だけは天下一品だと自画自賛します。


同時に、相手の考えている事が何となく分かる様になりました。
ビジネスでの付き合いで必要なスキルではありますが…あまり気持ちの良い物ではありません。

あやかし故の力なのか…私が少し誰よりも鋭いのか…

…とにかく、上辺だけの言葉や、下心というものには敏感な方なのです。



そんな私だからこそハッキリと断言出来ます。


……花梨様は、表面上だけの人間とは違う。
柚子様に対する後悔や、償いたいと口にした時の……顔付きも、身体から溢れる感情も…何もかも、上辺だけの人間には真似出来ないものです。

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