転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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柚子様の妹であられる花梨様を直で初めて見た感想は…確かにとても愛らしい顔立ちの女性とは思いました。

…高道様が褒め称える程の内面の方が気になりましたから、外見はその程度の印象でしたが。


まぁ玲夜様と高道様の互いの想い程、綺麗で美しいモノはありませんもの。


それと…花梨様の隣におられる狐月瑶太には…良い感情は抱いていません。


これでも私は鬼の一族
柚子様が、鬼の一族が選んだ花嫁である以上、彼女が一族の大切な存在である事は重々承知しています。


その柚子様に、彼は以前身勝手な理由で霊力をぶつけ、傷付けたと聞きました。
何の力も持たない人間に…女性に対して、何て仕打ちを。
もし玲夜様が現れなかったら、彼女は一生大きな傷を背負って生きていく事になっていたでしょう。


狐月瑶太には用はありませんので、私は花梨様に話しかけます。


花梨様は私の事をご存知の様で、私を見るなり顔を強張らせてしまいました。




……この程度で、強か…？




そう疑問に思いましたが、ふと花梨様の身体から…私と同じ匂い…正確に言えば私と同じ気配と言った方がよろしいでしょうか。

その気配に、私は覚えがあります。




…これが、高道様が仰っていた「玲夜様の霊力」？
今もこの傷を抱えて、日々を過ごしていらっしゃるの？


並大抵の人間が、こんな傷を抱えるのは日常生活に支障が出るはず。
ましてや…あやかしの頂点に立つ鬼龍院家の霊力なんて…




今まで私が見た花嫁様は、どれも「自分は特別な存在」「愛されている」等、どれも私利私欲の思考を持つ方々が大半でした。




花嫁は確かに大切にされる存在ですが、そんな甘い蜜を吸うだけの者とは、あまり関わりたくない……




だからこそ、本来なら大切にされるべきという認識の花嫁が、他のあやかしからの霊力で傷を負っても尚、そのままにしているのか……




今度は私の方から少しだけ興味を抱き、半ば強制で花梨様をお茶に誘いました。




とはいえ…気に食わないと言えば、否定出来ない私がいるのも事実です。
そんな私の中にある意地悪な心が、花梨様にこんな事を聞いてしまったのでしょう。





―――花梨様は“あやかしの花嫁”をどの様にお考えでしょうか？





…私の問いに対する答えは、意外なものでした。




―――……昔の、私だったら、こう答えていました。昔の花梨(私)なら、間髪入れず「必ず幸せになれる」「皆が愛してくれる」「特別な存在」と答えていたと思います

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