転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

打算的からの ページ46

〈side 桜子〉



玲夜様と高道様の2人を、突然現れた無知な花嫁によって邪魔される…
花嫁である柚子様の半生は確かに壮絶なもので、同情はします。

しかし、それと2人の愛の障害になるのとではまた別の問題

所詮花嫁は、あやかしの“本能”によるもので、玲夜様…あやかしの“意思”ではない…

政略的な意味で玲夜様と婚約を結んだ私が、お2人をお兄様と同じくらい近くで見守っていた私が、一番良く理解しております。


玲夜様との婚約を結んだ日から、色んな方々から祝福の声を頂戴しました。


しかし私は同時に、なるべく内密に声を出して訴えました。




―――玲夜様と高道様の禁断の恋を守る為に、私はお飾りの婚約者になったのだと。




次第に2人の愛を守る会が結成し、同好会も創設しました。
2人の愛し合う姿に、私達は歓喜の声を上げ、それは記憶に残すのではなく…作品として形にしようと。



なんて美しく、尊いのでしょう。
私はお2人の愛を守るその為なら、何でも致します。




そう、花嫁でも現れない限りは



しかし、最悪の事態はとうとう起きてしまわれました。




数日前に、玲夜様に花嫁が見つかったと聞いた時は、顔には決して出しませんでしたが…それは衝撃的な問題に直面したのだと、内心焦燥で満たされていたことでしょう。


平凡な花嫁様に、玲夜様を取られたと嫉妬で満たされている高道様も愛らしいのですが
そんな高道様を苦しめ…さらに玲夜様からの、本能による紛い物の愛で優越感に浸る花嫁様



身の程というものを、教えて差し上げなければ…



そう意思を固めた直後です。




―――まだあの凡人の妹の方がマシだ。肝が座って自信に満ち溢れ、玲夜様の霊力を喰らったにも関わらず「綺麗だ」と言ってのける。あんなに強かな娘は初めてだ。




高道様が…花嫁様の妹をその様に褒め称えたのです。



つまり選ばれたのが花嫁様の妹なら、高道様も幾分か諦めがついた…？
まさか、そんな…高道様が玲夜様以外の…それも女性を選ぶなんて



恐らく恋情ではないにしろ、高道様の心を少し乱したことに変わりはない花嫁様の妹…



少しだけ情報を聞けば、その方は妖狐でも上位に立つ狐月家の花嫁で…私の母校であるかくりよ学園高等部の2年生



姉妹揃ってとても強いあやかしの花嫁に選ばれる…これは純粋に凄い事だと思います。



だからこそ、私はお会いして確かめなければ



あの高道様が…花嫁様への嫉妬と怒りの中でも褒め称えた、花嫁様の妹に…

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