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「花梨様に…ついてですか?」
「……」
「確かにお兄様と高道様がほんのちょっと…でも、特に何か気になる様な事は」
あやかしにだって心はある。
花嫁や自分達一族の利益以外にも、感情を向ける時だってあるかもしれない。
……だから、まさか桜子様の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
私に対してそんな恐ろしいお願いを頼むなんて…信じられなかった。
「桜子様」
「!」
「今日は、私をこの様な素晴らしい場所へ誘って下さり、有難うございます」
「どうしたの…?そんな急に畏まって」
「だからこそ、私は貴女に話さなければなりません。そんな桜子様の気持ちをこれ以上裏切る訳にはいきませんから。私は、あの両親と同じで…長年姉を苦しめて傷付けた加害者だという事を」
「加害者…?」
原作でも、花梨はあの手この手で柚子を苦しめた。
鬼龍院家の花嫁に選ばれた柚子を、自分より上の立場になった姉を、自分よりも幸せになっている姉を
自分よりも上の立場になって両親からの愛を…偽りとも知らない愛を向けられなくなって
姉が花嫁に選ばれてから、両親との仲も、あやかしの花嫁としての脆い尊厳も
とにかく…姉が幸せになっていることが、姉に自分以上の幸せが与えていられる事が、許せなかった。
祖父母からの誕生日プレゼントですら、許せなかった。
あれは…祖父母からの本物の愛。
自分だけ見て愛して欲しいのに、姉に愛が与えていられるなんて。
些細な事ですら嫉妬に駆られ、姉を孤独に追いやろうと必死だった。
そうして、家の中心は花梨となって…あの家から姉を追い出すのも良し、花梨の僕として生きるのも良し……本当に、花梨は柚子を…道具として扱っていたのだ。
花梨からしてみればちょっとしたイタズラだったのだろう。
それが所謂「虐め」という名の重罪だなんて……
きっと花梨がそれに気付いた時には、或は気付きそうになった時には
……既に、花嫁の資格を剥奪され、瑶太と離れ離れになってしまった後だろう。
転生した私に残された時間は少ない。
断罪されて、この地を離れる前にやらなければならない事はある。
勿論、スキルアップもだし、他の友人に感謝しながら残りの時間を共に過ごし、勉学に励むのも大事だ。
でも、一番大事なのは…
「―――だから、桜子様が鬼龍院さん達の幸せを願い、邪魔する者を牽制するのと同じ様に
私も…姉さんの幸せな時間を邪魔して傷付けるのは許さない、絶対に」
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シャリファ(プロフ) - はい瑶太がなんかやらかすフラグ‥もう原作もしも花梨が改心してもあんま意味なかったかもですね (2月13日 8時) (レス) @page33 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» もちろん、わかっています。後のお楽しみっていうのがありますし。 (2月13日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» 一先ず両親が原作通り地獄に堕ちるのは確定です。瑶太と菖蒲と後何人かにはどんどん破滅・地獄フラグを建たせていく予定です。それが各々フラグが折れるor破滅ENDを迎えるかまではまだ言えませんすみません。 (2月13日 2時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» まぁ、そうですね・・・。改心してくれればそれでいいです。瑶太は両親と共に地獄に堕ちて欲しいですけど。 (2月12日 23時) (レス) id: 211f054fc3 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» ご丁寧にありがとうございます。茉莉に関してはこの後重大な鍵を握るキャラではあります。確かに茉莉は頼もしい設定ではあります…が、今言えるのはそれだけです。尚、花梨の友達・菖蒲に関しては瑶太と共に痛い目に合う予定です。友達想いの妖狐女子だとは思いますが。 (2月12日 21時) (レス) @page31 id: 063141ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年12月7日 14時