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もしも、もっと私が早い段階で前世の記憶を取り戻していたら…
あの猛毒両親は、昔からお姉ちゃんを蔑ろにしては花梨を溺愛していた。
花梨の言う事や、花梨が望むものは全て与えていた。
しかもかくりよ学園なんて、花梨が望んだ訳じゃないのに、容姿だけで判断して入学させたのだ。お金なんてないのに。
私だったら、そんなお姉ちゃんを孤独にさせない様に必死になるし、何なら祖父母に頼ったりもしていた。もしかしたら…狐月家に早い段階で救済だって頼んでいたかもしれない。
でも…
両親自らが、お姉ちゃんを本当に愛してくれる様になるとは限らない。いつもあの人はお金の利益しか考えなかったし、花梨自身を見てくれたかと言われたらそれすら危ういから。
瑶太は、花梨の言う事なら必ず聞くのであって…心の底からお姉ちゃん個人をどうにかしたい、と思う事はないだろう。
「でも…あやかしの本能から、本当の愛に芽生えるパターンもある…と信じてはいます。この目でその様な方をまだ見ていないだけで。
ただ…現時点では、あくまでも花嫁は子孫繁栄の器であって…伴侶を支えられるか、本心で愛し合えるか、となると別問題になるのかなって」
「……」
「桜子様が納得出来る様な応えを出せず、申し訳ございません。言い訳かもしれませんが、私自身も悩んでいる事だったので」
「花梨様は、あの狐月家のご子息が好きではないのですか?」
「………」
瑶太は、確かに優しくしてくれた。
あくまでも一番は私、他は同じ妖狐の…菖蒲等の身内。
甘やかしてくれたし、願いは何でも聞いてくれた。
とにかく、愛してくれた。
出会った時からずっとだ。
幼いながらも、可能な範囲で私を幸せにしてくれた。
でも…
前世の記憶を取り戻してしまった今、一方的に私の話だけを聞いてお姉ちゃんを燃やし、その後も害そうとした瑶太…私が一方的に彼と向き合えないのだ。
漫画や小説では、やらかしまくって読者から悪い印象しかない瑶太。
けれど…その花嫁である花梨に転生した私は、悔しい事に瑶太の良い部分も知ってしまった訳で…
「初等部の頃からの付き合いですし、今更嫌いなんかなれません。何と言いますか、思春期特有の悩みみたいなものかもですね」
「……」
「身体も、精神的にも成長して、色々考え方も変わったりなんかして、少しギクシャクはしてるかもしれません。でも…そこを乗り越えたら、これからも上手くやっていけるかな…とは思います」
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シャリファ(プロフ) - はい瑶太がなんかやらかすフラグ‥もう原作もしも花梨が改心してもあんま意味なかったかもですね (2月13日 8時) (レス) @page33 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» もちろん、わかっています。後のお楽しみっていうのがありますし。 (2月13日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» 一先ず両親が原作通り地獄に堕ちるのは確定です。瑶太と菖蒲と後何人かにはどんどん破滅・地獄フラグを建たせていく予定です。それが各々フラグが折れるor破滅ENDを迎えるかまではまだ言えませんすみません。 (2月13日 2時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» まぁ、そうですね・・・。改心してくれればそれでいいです。瑶太は両親と共に地獄に堕ちて欲しいですけど。 (2月12日 23時) (レス) id: 211f054fc3 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» ご丁寧にありがとうございます。茉莉に関してはこの後重大な鍵を握るキャラではあります。確かに茉莉は頼もしい設定ではあります…が、今言えるのはそれだけです。尚、花梨の友達・菖蒲に関しては瑶太と共に痛い目に合う予定です。友達想いの妖狐女子だとは思いますが。 (2月12日 21時) (レス) @page31 id: 063141ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年12月7日 14時