転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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妖狐はあやかしの中でも上位クラス。
霊力も権力も、他のあやかしとは比べ物にならない。

その妖狐を超えるのが鬼の一族。

…妖狐の当主である撫子様と、鬼の一族の命令に逆らえない。


桜子様は微笑むと、両手で私の手を包む。



「花梨様、突然呼び止めてしまい申し訳ございません」

「い、いえ…」

「それと…これも突然ではありますが、私、花梨様とお話ししたいと思っておりました。急ではありますが、御時間はございますか？」

「あ…はい。私はもうこの後何の予定もないので」

「良かったですわ。でしたら、この後お茶でもいかがですか？」

「え…えぇっ!?」



ちょ、ちょっと待って!?
どうして桜子様が私に!?花梨に!?
原作ではこんなシーン一度も…確かに漫画や小説では柚子視点多目で、たまに高道や玲夜の視点もあったけれど、それは物語の進行上重要だから書かれた訳であって…


桜子様と花梨の2人きりの時間!?いや、もしそれが存在するなら、絶対に小説か漫画に描かれないとおかしい！


つまり…転生した後の私が、それが直接か間接かは分からないけれど、桜子様に何かしてしまったという事になる！


私は一体何をやらかしたの!?今の所妖狐一族とは深く関わってはいるけど、鬼はあの日以来全然関わってないわよ!?玲夜と高道に何もしてないし！そんな喋ってないし、物語の重要そうな話はしてないし！


こんな形で破滅フラグが建つなんて、予想外過ぎて訳分からないわよ！で、でも…桜子様が花梨と瑶太の最終的な断罪に関わる部分なんてないし…


とりあえず…話を聞こう。



「私に…？」

「はい。是非、玲夜様の義妹となる花梨様と」

「!?」


義妹!?鬼龍院玲夜の!?
いやいやいやいや、鬼の一族である向こうにとって私は天敵以外なんでもないわ！
むしろ身内に居て欲しくないでしょこんな悪女！私、主人公の性悪妹よ!?


「あのー…桜子様、その件に関しては訂正がございまして…」

「あら、いけませんわ。こんな所で立ち話もよろしくありませんから…さぁ」


そう言って桜子様は…私の背中に触れると、いつの間にか駐車してあった別の高級車へと誘導する。


「では狐月家のご子息様…暫しの間、花嫁様をお借りします。狐月家までこちらが送迎しますので…どうかお許し下さいませ」


お許し下さいませ…だけで、瑶太はコクリと頷いた。


「ご、ゴメン瑶太！とりあえずまた屋敷で！」
「……あぁ」


瑶太…ここ暫く色々とボコボコにされてばかりで、大丈夫かしら…？

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